内容説明
スグニデモ抱キ合イタイ、スグニデモ肌ヲ触レタイ、コスリツケタイ、ナメアイタイ、逢イタイ逢イタイ逢イタイヨウ―結婚せずに34で失職した内藤民は、旅先のアリゾナで津山という男に出逢った。翳りがあり美しい。45歳。彼は、素性を明かさずに、濃密で不思議な恋愛ゲームを続けることを望む。が、民は津山を本当に愛し始めたらしい自分に気づいた…。恋の力を信じたいあなたに送る物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
27
再読でした。ミッキーローク主演の映画「ナインハーフ」を彷彿させる恋愛もの。書かれた時期も同じ頃ですかね。ただ、20年たったいま読むと、あまり深みは感じられません。2015/09/09
ブルーベリー
6
なかなか読み終えることができずに、最初の方を忘れた笑っ。スマホとかラインとかある今は、もう会えないかも必死感ってイメージしにくいけど、そういうところに想いを馳せるところがいいのかな。そのうちスマホとかラインも本の中だけでしか、見ない時代も来るのかな。2015/08/10
竜
2
民と津山がスコッツデールで出会い一夜を共にするあたり、鈍臭い自分には遠い世界の話で、あまりリアリティは無かったが、津山はいったい何者かと言ったミステリー風味でぐいぐい読めた。民が津山を好きになってからの描写がすごく良かった。ただ個人的には津山を最後まで好きになれなかったけど。2024/03/06
cof
1
だいぶ昔に読んだが手放してしまった山田太一のこの本、たまたま古本で見つけて購入。全然覚えておらず驚く。そして、覚えてなくてもまあしょうがないような、不思議な話だった。ここまで劇的な偶然が重なっても、運命だ!と言ったりできないというのはわかる気がする。そうは言わないふたりの話というのが、好ましかった。2017/03/11
ぶう兵衛
1
山田太一作品に登場する探り合いの会話はゲーム性を帯びて心地好い。そうくるなら、こうだとばかりピッタリかみ合った応酬…これはたとえ2人がすれ違う時でも。そして「どうして?」と踏み込み謎の切れ端が覗くときには、とてもどきどきとする。「嫌われても仕様がないな」「どうして?」「人にはどうでもいいことを、大切そうに訂正した」「気に入ったな」「今日だけのつき合いならね」「自分が嫌い?」「そんなことはないけど、嫌う人がいるのは分る」嘘だらけの安心できる世界では、嘘をついているというのが嘘であった。2014/02/19