内容説明
俺は、住み込みの牛乳配達員として働きはじめた。「暴力太郎」と渾名される筋者と付き合うようになり、生活は次第に乱れてゆく。太郎は乱暴だが、たまらなく魅力的な男だった。同じように、俺に気をかけてくれる夏子さんは、組長の女。決して手を触れてはならない存在だ。だが俺は、夏子の美しさに出会った頃から焦がれており、そして―。青春小説の歴史を塗り変えた傑作長篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
巨峰
36
「青春小説の歴史を塗り変えた傑作長篇」と読メのあらすじ・内容に表示されているけど、青春って人の数ほどあるわけで、塗り変えるものじゃなくて、名前を付けて保存するものだと思う。んでも、傑作であることは認めよう。モラトリアムだなあと思う。多少のことは許されたあの日々。暴力・ドラッグ・そしてSEX!SEX!SEX!惟朔は、目上の人(と女性)に可愛がられまくるのがうらやましいかもしれない。次は、百万遍古都恋情。2015/12/13
ソングライン
5
職を転々とする主人公はアウトローなヤクザ、大学生と出会い影響を受けます。生きていく目的は見つかりませんが、卑屈になることなく生き、快楽に忠実に様々な女性とも交わります。憧れはなく、清々しくもありませんが、獣のような彼の青春に共感してしまいました。2016/11/19
tom
5
やっぱり誰もコメントを書いていない。激しくて、どろどろしていて、しかも内省的という、とても興味深い本なのだけど。下巻になると浅間山荘事件とか、それなりの私の大昔の時間もシンクロしてきて、よけいに面白さが増してくる。薬物についても実体験のようにして記述されていて、とても興味深い。花村萬月という人がこういう風にして生きてきたのかもしれないと思い、それをたどることができるのだから、ずいぶんお値打ちの本なのですけどねえ。2011/05/21
reading
3
自伝的青春小説。欲望に忠実に生きる主人公に羨望を感じた。2015/03/12
crackstar
2
花村萬月らしさの集大成。読み始めはまた同じテーマだと思うけれど、これが読んでいくうちに、やっぱり面白くなっていく。作り、展開はもはやマンネリしたものだけれど読み進めていくと別作品との違いがじわじわ効いてくる。ただ、作品としてストーリーとしては正直よくわからない。。。三島など言葉のシンボルが、どう生きたのか。強く意味ありげな言葉やキャラクターをどんどん使っては捨てていく。だからこそ、その再利用に違和感を感じた。2013/02/15