内容説明
元ヤクザの木常は、神保町にある呑み屋のオヤジだ。ある日、現役の徳光からアタッシェ・ケースを預かる。二億円ほどの札束。組に黙って稼いだのだ。そいつは、とんでもない厄ネタだった。一週間後、さっそく凶刃に襲われる。幼なじみの女とその娘、舎弟の元力士を引き連れ、木常は、北辺の地を目指した。徳光の最後の願いを叶えるため。穢れなき雪原の中、壮絶な闘いの幕が上がる。
著者等紹介
花村萬月[ハナムラマンゲツ]
1955(昭和30)年、東京生れ。’89(平成元)年、『ゴッド・ブレイス物語』で小説すばる新人賞を受賞し、作家デビュー。’98年、『皆月』で吉川英治文学新人賞を、『ゲルマニウムの夜』で芥川賞をそれぞれ受賞。人間の生の本質に迫る問題作を、発表し続けている
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感想・レビュー
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hit4papa
60
組の内紛に巻き込まれた、元ヤクザの姿を描いた作品です。著者の描く男は、暴力的でありながら、愛に脆いというのが特徴的。本作品の木常(キツネ)も、グロテスクなくらいに暴力を振るいますが、一方では純粋な愛情と友情を持ち合わせた男です。組からくすねたか金を一時の約束で預かった木常は、ヤクザ組織に付け狙われるようになります。今や堅気となった木常が、また暴力の世界に身を投じるのか。クライマックスは、北海道へ向かう木常のロードノベル。木常を追う”狸”との決戦が待っています。・・・ラストは、若干、消化不良かもしれません。2020/07/09
あゆみらい
11
冒険の森、で読みました。初花村萬月さん。木常=狐。残忍な場面は苦手です。極道作品は初めて。彼らの筋がよくわからない。面子?読んでいて不安になる作品ですが、蒼の無垢さが救い。助かってよかった。2015/10/29
ウメ
7
破門したやくざと廃業した相撲取り。アウトローとしての匂いが通じるのか馬が合うようだ。血生臭い物語の中で、二人の掛け合いはほほえましいくらい。タイトルになで肩とつけるあたり、小憎らしいまでの上手さを感じる。2018/04/02
GAKU
6
こちらも花村氏の初期の名作ですね。このころの花村氏大好きでした。2015/06/03
いん瑚
6
花村萬月さんはじめて読みました。ハードボイルド小説と属する小説も初めてだったかも。とにかく殺人の場面が凄惨でえげつない話でした。エンターテイメントとしては最高に面白かったけど、子供とかには勧められません。2010/11/18