新潮文庫<br> ぼくは痴漢じゃない!―冤罪事件643日の記録

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新潮文庫
ぼくは痴漢じゃない!―冤罪事件643日の記録

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  • サイズ 文庫判/ページ数 327p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101012216
  • NDC分類 327.6
  • Cコード C0136

内容説明

ある朝、通勤電車の乗り換え駅で、若い女性に腕を掴まれ、「触ったでしょ!」と糾弾された一人の会社員。駅員に諭され事務室に行くと、現れた警察官はすでに彼を痴漢扱い。そのまま留置場に放り込まれ、ベルトコンベア式に犯人に仕立てあげられて…。2年の歳月をかけ、仕事と金を失いながらも、逆転無罪判決を勝ち取った痴漢冤罪被害者の渾身の手記。

目次

第1部 鈴木健夫による手記(通勤電車;駅事務室;代々木署 ほか)
第2部 升味弁護士による解説(「逮捕するぞ」は警官ばかりではない;鈴木さんは逮捕されたのか;恐怖の「有罪行きベルトコンベア」構造 ほか)
第3部 判決文(第一審判決文;控訴審判決文)

著者等紹介

鈴木健夫[スズキタケオ]
1958(昭和33)年、新潟県生れ。美大卒業後、販促代理店ディレクターを経て、一部上場飲料メーカー勤務。特販部課長を務めていた’98(平成10)年10月、電車通勤の途中、若い女性に対して身に覚えのない痴漢行為を働いたとの容疑で逮捕される。13日間の勾留後、保釈。一審は有罪だったが、二審で逆転無罪を勝ち取る。この間、辞職を求める会社と民事訴訟を争うも、最終的に和解して退職。事件で受けた精神的ダメージのため、再就職に次々と失敗。デザイン業の自営とアルバイトで家計を支えている
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

72
いつものように出勤するために乗った電車で痴漢に間違われて逮捕される筆者。ここから警察、検察との約2年間の闘いが始まる。痴漢冤罪というのは都会では電車に乗る機会が多いこともあり頻繁に発生するようだ。読んでいるうちに警察や検察の自白を誘導させる取り調べがいかに悪辣なものが多いことを知った。また法律や起訴までの知識が少ないことも冤罪の要因になっている。もし自分が同様な事案に巻き込まれたらほんとうに無実を言い切り続けられるのか自信はない。勾留や保釈といった刑法の見直しも必要な時期ではないだろうか。2019/04/05

ばりぼー

47
警官の「やっていないなら、なおさら署でハッキリさせた方がいい」という言葉はトラップだった。「会社にも言わないし、5万円の罰金で済むことだし…。もし今自供したら3万円になるように意見書つけるから。」警察のやり方=①何はさておき警察署に引っ張る。②法律に疎い相手には何でもあり。③自白さえ取れれば嘘もつく。④自白するまで返さない。⑤挑発は強要にまさる有効手段。⑥調書は後付けで補強する。逮捕の時点で「有罪行きベルトコンベア」に乗せられ後は流れ作業。絶対に駅事務室に行ってはいけない。とにかく逃げるしかないのだ。2017/05/23

kera1019

10
う〜ん… 被害者の事を考えると痴漢という犯罪が許せないのは当然やし、その正義感が日本の法治国家を支えてると思いたいけど、本書に出てくる司法は「善良な市民」の良識を打ち壊すくらい悪意に満ちたものでマジで怖かった… 2014/07/23

ラミウ

6
痴漢冤罪。本当に恐ろしい事だと思う。無罪を勝ち取っても、そこに至るまでに負った社会的・金銭的ダメージの大きさは計り知れない。しかもそれは国も補償してくれないし、誰も助けてくれないような、再起を期すにも困難な深傷。有罪か無罪かも含め、色んな制度上の問題を抱えてる事案なのだと思った。つい先日も自称22歳の少女が「被害者」となる事件があった。条例を悪用した美人局もあるという。そしてそれら魔の手はいつ自分に忍び寄るかも分からないのだ。法はせめて平等に曇り無く。そう願わずにはいられない。2017/02/15

Ikuto Nagura

6
著者に「犯罪生産機関」とまで揶揄される警察。「逮捕されるとベルトコンベアで有罪までフリーパス状態」の行政と司法制度。システム上の欠陥もあるのだろうが、それ以上に、私たちの意識の問題なんだろう。日本人に染み付いた百姓根性・お上意識と、それに付け込み増長する官憲の特権意識。お上に楯突いた鈴木氏の転落は、無罪判決によるシステムへの勝利に、何の意味もないことを示しているようだ。顛末記にも悲壮感や怒りは強く表れず、その抵抗はどこか腰が弱く映る。升味弁護士の説く痴漢冤罪の対応方法を参考にする日が来ないことを祈りたい。2014/08/25

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