新潮文庫<br> 鎌倉のおばさん

新潮文庫
鎌倉のおばさん

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  • サイズ 文庫判/ページ数 311p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101011158
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

その女が、「私」の祖父・村松梢風と暮す鎌倉の家には、独特の空気があった。放蕩三昧の梢風を「文士」に仕立てあげながら、その女は年齢や経歴を様々に偽り、虚構の人生を縦横に紡ぎだしていたのだから。その姿はいつしか、実母は死んだと言い聞かされ、梢風の正妻である祖母と二人きりで育った「私」自身の複雑な生い立ちと、どこかで微妙に交錯し始めた…。泉鏡花文学賞受賞。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

更夜

11
「鎌倉のおばさん」とは著者、村松友視さんの祖父(戸籍上は父)文士、村松梢風の妾、絹江。とはいえ、村松梢風をめぐる人びとは関係がとても複雑で、女放蕩が絶えなかった梢風を手の上で転がしていたのは、鎌倉のおばさんだったのだと思います。壮絶ともいえる関係を幼い頃から見てきた友視さんの複雑な心情を織り交ぜながら、夫婦とは何なのか、家族とは何なのか、を問い続けているようです。答えはこの本の中にはありません。正妻にならくても実質「奥さん」で文士、梢風を育て上げた人。今の時代、こんな剛胆な女性はいるでしょうか。2015/09/17

mymtskd

8
村松梢風の内縁の妻絹江を軸に祖父である梢風と自身とのちょっと複雑な関係を織り交ぜた松村友視氏の自伝的作品。残念ながら梢風の作品は読んだことがなかったが、友視氏の眼を通じてその作品や人となりを知ることができた。現代の価値観や倫理観とはほど遠いが、当時の文士としては「よくあること」だったかもしれない。絹江と川島芳子との関連性が興味深かった。2021/08/20

れんか

4
泉鏡花賞受賞作だが、私小説風というか、祖父村松梢風とその内縁の妻であるおばさんの物語である。 散々放蕩をしてきた村松梢風のような男を虜にするのは、絹江のような型破りな女性なんでしょうね。たぶん普通の神経の人間では暮らしていけない。 育ててくれた祖母に対して著者は冷淡な目しかない、おそらく嫌いだったのでは? だとしたらおばあちゃんが可哀想だな。 戦前の上海の様子も描かれていて、興味深く、面白い小説でした。2019/09/13

tarotaro

3
久しぶりに文学的な文章に触れた感。祖父、おばさんの型破りな生き方はともすれば騒々しい描かれ方になるのだろうが、しっとり、ゆったり描かれていた。2013/08/07

らびお

2
作者の祖父、村松梢風とその内縁の妻絹江を描いた私小説。 そういう時代、と言われても、やはり梢風という人物を好きにはなれなかった。しかし絹江は面白く、魅力的な女性に思えた。梢風なんかと出会わなければ、と思ってしまうが、本人が満足な人生であれば、傍がどうこう言うことではないよな。2022/03/27

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