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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カブトムシ
21
小林秀雄は、昭和時代を代表する知性で、三島由紀夫の『金閣寺』を絶賛した。三島との対談もある。さて、この本では、昭和4年(1929年)の「志賀直哉ー世の若く新しい人々」と昭和13年(1938年)の「志賀直哉論」を載せた。前者では、「例えば人々は、『和解』に於いて、子供が死ぬ個所の描写の異常な精到緻密を見て、ああいう場合にも作者の観察眼がくるわない事を訝るが…」と書き、後者では「『和解』を読んで泣いたと書いたが、これは言うまでもなく、志賀の文章が、少しも感傷的なものを交えず、強い感動に貫かれている為だ。」と。
アマヤドリ
20
作品から人間を見抜く、作品に生きたそのひとが通う、ということについて考えた。同時代に生きる作家をそういえばこのごろ読んでいない。2010/11/15
fseigojp
16
志賀と菊池を評価しているのが注目点 菊池は出版社を率いたバルザックと愚考 志賀の心境小説は、伝統的な日記文学の発展とも愚考 漱石・芥川に関する論評をほとんど見たことがないのは、いまだに謎2015/08/18
双海(ふたみ)
16
好き:「作家の顔」、「思想と実生活」、「中原中也の思い出」、「死んだ中也」、「川端康成」2014/06/17
ナハチガル
14
ずいぶん時間がかかってしまった。言うまでもなく文章はうまいが、講演や肩のこらないエッセイに惹かれた者にとっては、(初期の作品だからかもしれないが)技工が勝ちすぎて、こだわりが強すぎて、読み疲れてしまった。ランボオについての文章など詩的で魅力的だが、熱量が高すぎる。むしろ身近で傾倒しすぎていない対象についての文章のほうが説得力があり、読みやすかった。「川端康成は、小説なぞ一つも書いてはいない(中略)彼が、二人の男、二人の女さえ描き分ける才能を持っていないのを見給え」などと、身も蓋もなく、なかなか痛快だ。A。2023/10/02