内容説明
〈私〉の意識の核に思考回路を組み込んだ老博士と再会した〈私〉は、回路の秘密を聞いて愕然とする。私の知らない内に世界は始まり、知らない内に終わろうとしているのだ。残された時間はわずか。〈私〉の行く先は永遠の生か、それとも死か?そして又、〔世界の終り〕の街から〈僕〉は脱出できるのか?同時進行する二つの物語を結ぶ、意外な結末。村上春樹のメッセージが、君に届くか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハイク
177
「羊をめぐる冒険」に続く長編小説で著者の初期作品である。その後の小説と比較する上で大いに参考となる。こちら側の世界とあちら側の世界である。彼自身は寓話的な題材で世に問うたと思う。断定的でなくイメージで持って読者に種々の解釈を委ねる手法である。上巻と同様読んでも何を表しているのかわからない。でも不思議と読み進めてしまう。この文章の魅力とは何であろう。美しい文章や表現力ばかりでなく、読者の想像力をかきたてる何かがあるからなのであろう。僕と影と二つになりそれぞれが独立した世界や2つの並行した物語はその例である。2015/10/21
ehirano1
150
主人公が捨ててしまった「影」は何のメタなのかと想像しながら楽しく読んでいると、「チン〇」の話がまるでお約束のように出て来ます。どうやら「チン〇」も何かのメタのようです。2022/01/04
とら
124
同時進行する二つの物語が繋がった。『村上春樹のメッセージが、君に届くか!?』と言われると、届いていない。何が言いたかったのかはさっぱり。世界が終わるときに何をすればいいか、どういう心構えでいればいいか、ということ?どこかの記事で「セカイ系」と呼ばれる作品の中にこの作品の名前も載っていて、てっきりそうなのかと思ったが、少し違う。それは”私”に対してだけのことなのだ。でも面白かった。今まで読んだ著者の本の中ではずば抜けている。言ってしまえば雰囲気だけ、世界観だけでも楽しめる。まずは村上さんの長編を制覇しよう。2013/11/17
tokko
76
図書館のリファレンスの女性と、図書館の夢読みの手伝いをしてくれる女の子。古い脳の思考システムと僕の「影」。一角獣の頭骨という鍵で結ばれた二つの世界。この後私はピンクのスーツの女の子に冷凍付けにされたかもしれない。僕は心を持ったまま図書館の女の子と森の奥で暮らしているかもしれない。よくわからない、そうかもしれない。2011/07/24
esop
68
認識ひとつで世界は変化するものなのです/女の子より先に服を着ないというのが私のジンクスなのだ。文明社会では礼儀というのかもしれない2024/04/04