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出版社内容情報
人は漫画を生きるのか。
大手出版社を早期退職した漫画編集者の塩澤。
理想の漫画誌を作るため、
自分が信じる漫画家たちを訪ね、執筆を依頼する。
仕事か、表現か、それとも友情か。
漫画を描く者、描かぬ者、描けぬ者、
東京の空の下、それぞれの人生が交差する。
松本大洋が初めて描く漫画家漫画、初めて語られる創作哲学。
これを読まずに松本大洋を知ることはできない、必読の一冊。
【編集担当からのおすすめ情報】
『ルーヴルの猫』で米国アイズナー賞を受賞し、世界中で評価が高まる松本大洋氏の最新作。ビッグコミックオリジナル増刊号で絶賛連載中の『東京ヒゴロ』待望の単行本第1集です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キク
62
素晴らしい作品を創作する作家を「天才だ」でまとめてしまうのは、安易なラベリングで逆に失礼じゃないかと思っている。思ってはいるんだけど、、、どうしても「松本大洋は天才だ」と思ってしまう。その松本大洋が、マンガ出版業界を舞台に中年マンガ編集者と、かつて天才と言われた漫画家達が新しい雑誌を創刊しようとする物語を描いている。当然、素晴らしい作品になっている。不器用だけど誠実にマンガに向き合う中年編集者が、なんか「ピンポン」のスマイルが社会にでた姿に思えてきて、すごく感情移入してしまう。大人に響くマンガでした。2022/01/21
キジネコ
43
30年出版社のマンガ編集者として勤務した塩澤が「私はそこにいるに値しない人間だ」と辞職します。勤勉で実直を文字どおり作家は絵に塩澤を具現します。仮構の世界の仮初の役割を担った塩澤が現実を真っ直ぐ見つめる物語が始まります。熾烈な競争の世界で摩滅し、本来の輝きを失った、忘れていた才人達の胸中の残り火が塩澤の真っ直ぐな視線と言葉に煽られます。彼らの胸の奥に往来する感情は痛みなのか?希望なのか?そして読者も仮構の世界で生きる自身を顧みて遠くを、近くを眺める事になる。何度も云いますが松本大洋は唯モノではないです。2023/05/25
Tenouji
42
2022年のGW終盤に相応しい内容だった。理想主義とは『ナンバー吾』で決別したと思っていたのだが…やはり、そういうことなのか、と思う次第。「Man shall not live by bread alone.」2022/05/07
ぐうぐう
34
読んでいて、寺田ヒロオと森安なおや、二人の漫画家のことがなぜか思い出された。漫画界に絶望し筆を置いた寺田と、再起を願い描き続けたが叶えられなかった森安。トキワ荘の住人だった二人の漫画家の、その対照的な生き様は、しかし自らの作風を頑なに守ったという点で共通している。『東京ヒゴロ』の主人公は、元編集者だ。編集者の目線から漫画を、漫画家を、漫画界を描こうとしている。ここには、漫画界の本流から外れた漫画家達が登場する。(つづく)2021/09/05
ミエル
32
私の好きな方の松本大洋作品。ファンタジー過ぎずに地に足着いた情緒あふれる良作。退職した漫画編集者と文鳥の程よい距離の暖かな会話も「らしさ」全開だし、一話ごとのラストに必ず1ページコマの風景が入るのが良い!読み手の余韻と想像を掻き立てる空気を体感したかったのでものすごく幸せな読後。早く読み進めたい気持ちと、もったいないので読み続けたくない気持ちが交互にやってくるのも幸せな悩みだな。とは言え、早く次巻が読みたい。2023/06/14