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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
190
原敬に、魔の手が迫りつつ摂政問題を進めてると言う流れの中、外遊を続ける裕仁皇太子。 この後、国に帰った後は生涯大変だった思うと不覚にも泣ける。 結局国民は陛下におんぶに抱っこだった様な感じしかせず、皇室を抱く国民としては虚しい。2022/06/21
yoshida
112
20歳の皇太子裕仁の外遊。イギリス国王の勧めもあり第一次世界大戦の傷跡の残る、欧州を追加し外遊する。また、スコットランドでは理想の貴族と民衆の近しい間柄を見る。国内では大正天皇の病状が悪化し、外遊から帰国後に裕仁は皇太子から摂政となることが決まる。摂政の時代も含めれば、実に長く裕仁の役割が続くことが分かる。外遊から20年後には日米戦争が始まる。今はまだ、昭和天皇にとっても嵐の前の静けさと言った感がある。パリからの絵葉書に暖かな人間味を感じる。どれだけ史実に近い作品かは不明な点もあるが、実に興味深く読める。2019/06/29
アキ
53
大正10年1921年、20歳の皇太子・裕仁の英国訪問を含む欧州外遊と、国内では原敬が皇太子帰国後の摂取の準備に追われる。皇太子は欧州で自由の素晴らしさと第一次世界大戦後の荒廃した戦地を強烈な印象に残し、帰国の途に就く。欧州での体験は生涯の財産になる。教科書には決して載らない貴重な史実。特にスコットランドでの対応が素晴らしい。「アソール公その人、及びその生活は貴族の模範でした」裕仁。「日本の華族や富豪がアソール公のようであれば、日本には過激思想など起こらないと思う」。良子への絵葉書がその人となりを表している2019/07/21
Prince of Scotch
42
欧州歴訪。迪宮裕仁は英国やフランスなどで束の間の自由を満喫しつつ、大いに見聞を広げてゆく。のちの歴史を知る者として、吉田茂が駐英国大使館付一等書記官として初登場するくだりは一例だが、この巻ではほかに様々な伏線が張られているように感じた。外遊からの帰国後は父帝ご不例による摂政設置問題など「現実」に否応なく巻き込まれる皇太子にとって、この旅が「青春送別会」であることは明らかだ。2019/08/15
ムーミン2号
35
この巻では、昭和天皇の外遊の様子を描く一方で、揺れ動く内政もしっかり描かれている。イギリス王室やエジンバラでの体験、フランス、ベルギーやイタリア訪問の一方で、第一次世界大戦の激戦地を訪れ、いかに戦争が酷いものかを目の当たりにする。また時に自由を初めて謳歌し、良子(ながこ)への思慕もよぎる。大正時代後半、内閣は平民宰相と言われた原内閣だが、依然普通選挙は実施されず、収賄が発覚するなど民衆の人気も衰え気味。かつ、快癒の見込みのない大正天皇の代わりに、裕仁皇太子を摂政にとの動きを進める原首相。暗殺の兆しが…。2019/07/13