小学館文庫<br> 砂のクロニクル〈下〉

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小学館文庫
砂のクロニクル〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 567p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784094060515
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

交錯する民族と宗教、今決戦が始まる

マハバード奪還をめざすクルド人への武器の供給が、いよいよ間近に迫る。だが、武器密輸商人ハジの前にあらゆる障害が立ちはだかり、思うようにクルド人の元へたどりつけずにいる。
一方、そのクルドの民を押さえ込まなくてはならないイランの革命防衛隊が、内部の腐敗により、その機能が低下しはじめる。機能を失いつつある革命防衛隊を立ち直らせたいと、崇高な理想を掲げるサミルが、まさかの裏切りにあい、窮地に追い込まれる。
いざ決戦の時。クルド人のもとに、ようやく20000丁のカラシニコフが届く。彼らはマハバード奪還を成し遂げられるのか。イラン革命防衛隊は、それに応戦できるのか。マハバードの地でクルド人のカラシニコフが一斉に火を噴く。

絡み合った糸が、ほどけていくように、奇跡の再会を果たすサミル・セイフと姉のシーリン・セイフ、そして隻脚の日本人ハジと武器密輸商人ハジの一瞬の邂逅、そして、かつて愛し合ったシーリンと隻脚の日本人ハジとの不思議な縁・・・。
全ての伏線が一つになり、驚きの結末に。読む者は必ず、その壮大なストーリーに打ちのめされる。船戸与一最高傑作とも呼べる超大作。

内容説明

独立国家樹立を悲願に聖地マハバード奪還を目指すクルド人たち。日本人武器商人・ハジが旧ソ連で調達したカラシニコフ二万挺は、無事クルド人の元へ届けられるのか。一方、クルドの民を押さえこまなくてはならないイラン革命防衛隊は、内部の腐敗によりその機能が低下し始める。革命防衛隊を立ち直らせたいと理想に燃える青年・サミル・セイフは、まさかの裏切りに遭い窮地に追い込まれる。革命防衛隊の腐敗と、クルド人の武装蜂起。生き別れた姉とサミルの奇跡の邂逅、あらゆる伏線が一つになり、驚きの結末へと導かれる。船戸与一が描く一大叙事詩、下巻。

著者等紹介

船戸与一[フナドヨイチ]
1944年、山口県下関生まれ。早稲田大学法学部卒。『山猫の夏』(吉川英治文学新人賞)『猛き箱舟』(日本冒険小説協会大賞)『伝説なき地』(日本推理作家協会賞)『砂のクロニクル』(山本周五郎賞)『虹の谷の五月』(直木賞)など著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kaoru

38
骨太な物語。イランの民族紛争がテーマ。テレビの中でしか知らない世界にも、英雄や悪人ではない普通の人間が生きていきていて、考え、苦しみ、もがいています。私とは縁遠いと思った世界が不思議と身近に感じられました。2017/05/11

ひよこ

34
重量感がハンパない作品!舞台は1990年前後のイランが中心で、当時の世界情勢をとても詳細に書かれていることもすごいが、なんと言っても登場人物が魅力的!誰一人明るい人生を歩いているわけではないけど、こいつを主人公にして小説が一つできるんじゃないのっていうキャラクターが少なくとも3人いる!そんな登場人物たちが一つの小説に詰め込まれていることが、この作品のすごいところだと思う。読むのに時間と集中力が必要だったけど、読了後にはハッピーエンドで終わる小説では絶対に味わえない虚脱感と満足感があります。2015/12/21

姉勤

32
革命、理想、独立、民族、殉教、主義、そして、復讐。個を超えた大義に心を任せた時、人は恍惚の中に生き、死ぬ。たとえ激烈な痛みが伴おうとも。イラン革命に端を発し、湾岸戦争前夜を以ってひとまず筆を置くこの戦史は、数多の名もなき人々の哀しみによって紡がれて、そして人間が地球にある限りとともに続く。モスクのモザイクの一ピースのごとく、縁が戦いを生み、因と成り、果となる。ハジと呼ばれる二人の日本人が関わったイランにおけるこの闘争は、有史以前から何万何億と繰り返された、ひとの営み。偉大な唯一神が振った賽子の目。2016/04/19

きょちょ

26
背景にあるのは戦争なんだけれど、特に迫力があったり凄まじいわけではなく、むしろ淡々とした文章。 しかし、実に壮大な人間ドラマであり物語だった。 宗教や革命は、本来は、人間がよりよく生きる為に、あるいは、人間をより幸せにしようと考えることから始まるはずだが、この作品に出てくる、アッラーやイスラム革命はむしろ多くの人を不幸にしている。 主人公と言える人たちが最後同じ所に集まるのは、うまく創っているし、感動。 皆、それぞれ美しくそして哀しい。 ★★★★2017/03/03

geshi

20
ハジもシミルもアアハマドも、自分の守ろうとするものにあまりにも純粋でありすぎたが故に、大切にしていたもをの自ら手にかける。その哀しい孤高が胸をえぐる。あらゆる運命が一つになり、彼らが悩み苦しんできた事を無意味にしてしまう、あまりに無慈悲なクライマックス。国家の大いなる力の前で個々の思いなど簡単に消し飛び蹂躙される虚無を見るに、歴史とは勝者の物語である、という言葉を思い起こさせる。これはクルド人だけの物語ではなく、名を残さぬ者達の失われた戦いの物語だ。2015/05/31

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