小学館文庫<br> 銃口〈下〉

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小学館文庫
銃口〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 443p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784094021820
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

北海道の雄大な自然に育まれた竜太と芳子の青春と愛。だが、希望に燃える若き教師たちの上に戦争の暗雲がのしかかる……。激動の昭和を生きたすべての人へ送る、人間の本質に迫る三浦文学の最高傑作。

昭和16年、思いもよらぬ治安維持法違反の容疑で竜太は、7か月の独房生活を送る。絶望の淵から立ち直った竜太に、芳子との結婚の直前、召集の赤紙が届く。入隊、そして20年8月15日、満州から朝鮮への敗走中、民兵から銃口をつきつけられる。思わぬ人物に助けられやっとの思いで祖国の土を踏む。再会した竜太と芳子の幸せな戦後に、あの黒い影が消えるのはいつ……過酷な運命に翻弄されながらも人間らしく生き抜く竜太のドラマ。

内容説明

昭和16年、竜太は想いもよらぬ治安維持法違反の容疑で勾留、7か月の独房生活の後、釈放された。坂部も同じ容疑で捕えられ釈放されたもののすでに逝くなっていたことを知り慟哭。芳子や家族に支えられ、ようやく立ち直った矢先に、召集の赤紙が届く。それは芳子との結婚式の直前だった。軍隊生活、そして20年8月15日。満州から朝鮮への敗走中、民兵から銃口を突きつけられる。そこへ思いがけない人物が現れて助けられ、やっとの思いで祖国の土を踏む。再会した竜太と芳子にあの黒い影が消える日はいつ来るのか―。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

三代目 びあだいまおう

292
とても素晴らしい!戦前の言語思想統制の非道さから、戦時の満州、戦後GHQの介入、それまでの現人神なる天皇崇拝・軍国主義から日本全体の思想がひっくり返る様子まで、染入る様にわかりやすく紡がれている。様々な物語を入れ込むスタイルを取らず、主人公竜太の一人称視点で語り通した効果か。戦前の言語思想統制、戦中軍の振舞いや言動は日本の歴史的恥部といえよう。清らかで美しき心と深き真実の愛を貫いた芳子さんは我が読書人生の中で出会った最も素晴らしい女性。戦後75年、戦争を知る世代最後の時代に相応しい日本人必読の良書‼️🙇2020/08/20

おしゃべりメガネ

140
そのボリュームが物足りないと思えるほど、圧巻の作品でさすがは下巻だからか読む手が上巻以上にとまりませんでした。赤紙により戦地へ召集されてからの話が書かれてますが、改めて戦争の悲惨さが伝わります。本作を読んでいて、ずっと思っていたコトは良くも悪くも'因果応報'があるのだなと。そしてそれはやはり他者に対して、損得ではなく、無償の行動としてするべきだなと。哀しさもありながら、生きるコトへの決して諦めないキモチや「芳子」への一途な想いがステキでした。超大作ながら、何度も何度も読みたくなる素晴らしい作品でした。2021/06/11

piro

43
無実の罪での7ヶ月に渡る勾留、そして解放後、芳子との結婚直前での召集。竜太の人生を踏みにじる様に過酷な運命が襲います。そんな戦争という異常事態の中でも、人間らしい考えを持ち続ける事ができた人達は確かに存在していた。その様な人達のお陰で竜太は生き延びる事ができ、正しい人格を得る事ができたのだと思います。三浦さん晩年の本作は、終戦まで教職にあった三浦さんにとって、自分が戦前・戦中に成した教育に対する悔恨の念と、かつての教え子達に何としても伝え直したかった思いが込められた作品なのではないかと感じました。2020/12/20

zero1

43
戦争は兵士だけではなく、多くの人の希望を奪う。中国、朝鮮もそうだ。特に下巻は主人公の竜太に厳しいことが続き、読むのが辛い。その中にあって竜太を支える人たち。世の中捨てたものではない。どこかに救いはある。読んでいて中国残留孤児を描いた「大地の子」とシベリア抑留が出てくる「不毛地帯」(ともに山崎豊子)を思い出した。大陸からの引き上げという点では「流れる星は生きている」(藤原てい)も似たテーマを描いた。これだけ戦争について学べる作品があるのに、学ばないのは日本人としてどうなのか?これは自虐史観?理想主義? 2018/10/28

hrmt

37
赤化思想を疑われ逮捕され7ヶ月にも及ぶ勾留。釈放後も付き纏う特高警察、長男であるのに早々に舞い込む召集令状。ただ純粋に教育愛に邁進していただけの竜太を襲う苦難。それでも竜太が出会う人に、優しさ溢れた誠実な人達が多かったのは作者の人間愛ゆえだろうか。坂部先生をはじめ、軍隊での戦友、上司、金俊明。心に確固たるものがある人はそれ程優しく強くなれるものか。真面目で真摯な主人公には恐れ躊躇う弱さが見え隠れする。弱さゆえに人であると私には思えるのだが、その弱さを呑み込んで強さへと繋げる葛藤こそを、もっと読みたかった。2019/12/27

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