出版社内容情報
日本人の「わ」の精神のルーツはここにあった
「卑弥呼は天照大神だった!」日本史の常識を覆す大胆な推理で知的興奮を喚起したあのベストセラー初の文庫化。本書では、日本史の総点検をめざす著者の問題意識を読者に投げかけることから始まる。従来の歴史アカデミズムには大きな欠陥があると著者は説く。史料、記録だけが歴史ではない。人間が人間として生きていた時代を今に甦らせるために今必要なことは人々の自由な発想、想像力であると。解説・藤岡信勝。
井沢 元彦[イザワ モトヒコ]
著・文・その他
内容説明
教科書ではわからない日本史の空白部分に迫る。従来の歴史学界の権威主義、史料至上主義、呪術観の無視、以上の三大欠陥を指摘しながら古代史の謎を推理、解明していく。日本人の「わ」の精神のルーツは?宮内庁が天皇陵の学術調査を拒み続けるのはなぜか?あの出雲大社はオオクニヌシノミコトの怨霊を封印するために建てられた「霊魂の牢獄」ではなかったか?当時最高の知識人であった聖徳太子はなぜ、「和」こそが日本人の最高の原理としてあげたのか?など。
目次
序論 日本の歴史学の三大欠陥
第1章 古代日本列島人編―日本はどうして「倭」と呼ばれたのか
第2章 大国主命編―「わ」の精神で解く出雲神話の“真実”
第3章 卑弥呼編―女王殺害と紀元二四八年の重大事件
第4章 神功皇后編―邪馬台国東遷説を裏付ける宇佐神宮の拝礼作法
第5章 天皇陵と朝鮮半島編―日本人のルーツと天皇家の起源
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
265
井沢節健在な1冊。一般の歴史観に宗教的な視点(言霊信仰・怨霊信仰など)を盛り込んで通常の歴史観を批評する内容になっている。第1巻は”倭”の国~天皇家のルーツまでをカバーしている。今のとなっては内容に目新しいものはないが、一般常識に対して何ら疑いの目を向けない多くの日本人に対して警鐘を鳴らす意味で興味深い本になっている。本巻で面白かったのは丸山ワクチンについての記事だった。2018/09/21
KAZOO
145
井沢さんのこの本はむかしハードカバーで途中まで読んでいたのですが、その後フォローしていませんでした。中公の日本の歴史と岩波の講座日本史を読み終えたので、少し楽しめる日本史の本を再読しようと思い文庫版で読み始めました。確かに逆説という感じの内容で、おもてに表れない裏日本史です。序論の「日本歴史学の三大欠陥」は確かにそのとおりといいたいです。また「神功皇后編」も伊勢と宇佐の神宮についての論考で面白いものです。2016/03/08
Shoji
78
いやぁ面白かった。 逆説の日本史とは正に言い得て妙でした。 史実として明らかにされていない歴史を復原するには、仮説を立てることから始めなくてはいけません。 井沢氏が『逆説の日本史』で述べる仮説とその仮説に対する氏の理論は気持ちの良さすら感じました。 この本では「天皇陵と朝鮮半島」が特に面白かったです。 宮内省が天皇陵を考古調査させない理由が書かれていますが、私にとっては目からウロコでした。2016/12/23
saga
63
まさに「興味本位」でお試し購入。結果はがっかり。古代史を推測する視点は面白いものがあるし、歴史学者や宮内庁官僚の閉鎖性にも納得できる。しかし、著者自身がトンデモ史観と言われないために弄する言い訳がましい文章が鼻につく。疑問に思うこともある。例えば「柏手、……普通は二回」という記述。柏手の回数は明治政府が神仏分離と合わせて強制したものだったはず。また、卑弥呼が皆既日食を2度見たという。そうなると少なくとも100年以上生きなければならない。古代の平均寿命は30歳前後だろうに……2021/03/06
舟江
54
一石というのは一人の人間が一年に食べる米の量を基準にして定めた単位であり、一反(300坪)の水田が必要であるという(生産性が非常に低い)。またこの米を買うだけの金額が一両であり、一万石につき二百五十人の戦闘員を動員することができたという。他は説であるが、もう少し要点を整理した方が良いのではないだろうか。2017/02/12