ピカレスク―太宰治伝

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  • サイズ B6判/ページ数 479p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784093941662
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

「みんな、いやしい慾張りばかり。井伏(鱒ニ)さんは悪人です」??。日本文学史上最高の人気作家・太宰治が愛人との入水自殺を遂げる直前にしたためた遺書の謎を、新事実を織り交ぜながら精緻な筆致で描く。

 流行作家の太宰治が東京・三鷹の玉川上水で心中事件を起こしたのは昭和23(1948)年6月13日の深夜。懸命な遺体捜索が続けられるなか、6月17日、太宰による遺書の下書きが見つかったと新聞は報じる。そこには、文学の師・井伏鱒ニに向けた言葉が綴られていた。「みんな、いやしい慾張りばかり。井伏さんは悪人です」??。「太宰治心中事件の謎は、死後、半世紀を経たいまも封印されている。『井伏さんは悪人です』が、太宰の自殺にどう関わっているのか。死ぬ直前に溢れ出た想いが遺書に込められたとすれば自殺の動機に含めぬわけにはいかない」(本文より)。関係者から得た新事実と精緻な推理を駆使し、太宰治の自殺、遺書の謎を猪瀬直樹氏が描き切る。

内容説明

太宰治心中事件の謎は、死後、半世紀を経たいまも封印されている。「井伏(鱒二)さんは悪人です」が、太宰の自殺にどう関わっているのか。死ぬ直前に溢れ出た想いが遺書に込められたとすれば自殺の動機に含めぬわけにはいかない。太宰治の「遺書」の謎に迫る本格評伝ミステリー。

目次

第1章 第一の事件
第2章 第二の事件
第3章 山椒魚の受難
第4章 第三の事件
第5章 第四の事件
第6章 三鷹・下連雀へ
第7章 太田静子の日記
第8章 山崎富栄の青酸カリ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

38
太宰治の素顔が描かれています。ダメ男の典型かもしれませんが、憎めないし魅力を感じました。悲劇とも喜劇ともとれる生涯を送ったからでしょうか。それとも自分が太宰ファンだから贔屓目で見てしまうのか。2024/01/12

青蓮

38
膨大な資料、太宰治を知る人の証言と共に、彼の生涯を描き出した作品。太宰治は「脆弱さ」を擬態することで強かに生きた人だったのかなと思いました。それでも彼の奇矯な言動を見るとやはり何処か病んでる様でもあり、尋常ではないと感じました。こんな人が身近にいたら嘸かし傍迷惑であろうと思いつつも、それでも憎めないのはそこに彼と似通った自分の弱さを見いだすからかも知れません。また太宰作品をゆっくり読み返したい。井伏さんのエピソードは初めて知ることばかりで、新鮮でした。2015/05/06

James Hayashi

21
太宰治の伝記風であるが小説的な作品。ナルシスト。自堕落で女ったらし。驚いたのはその当時の診断でサイコパスの記述があること(不確か)。富裕な家庭に生まれ、三男坊であれば外に仕事を求めざるをえない。そこから道を外れていく。戦時中である。心中し自殺幇助が問われたが不問。甘えた男である。来週あたりから太宰治を読んでいくので参考になった。2020/08/21

たらちゃん

15
太宰治さんには好きな作品がいくつもあるけど、この本を読むと本人が身近な人だったら関わりたくないかも。事実は小説よりも奇なりで、ほんとは憎めないヤツかも。と思いたいかも…2017/04/27

ゴロチビ

4
期待以上に面白かった。特に前半は知らなかったことが多く、何度も重ねた自殺や心中の内幕は、本当にそうなのかも…と思えた。初代さん上京直前の心中のことはとても現実味があり、後々の彼女の扱いとも辻褄が合うと思った。又、今でこそ権威ある文学賞も、元を辿れば思い付き、所詮販促イベントに過ぎないんだなぁと当たり前のことに気づく。又、この本でもかなり割を食ってしまっている井伏鱒二は、私には悪人と言うより不器用な善人に思えた。それにしても、こういうものを読むと益々太宰作品を読みたくなる不思議。答え合わせみたいなものかな。2019/12/06

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