出版社内容情報
そのとき、地域病院は野戦病院と化した
簡易ベッドで埋め尽くされた待合室、廊下にあふれる被災者、家族の安否もわからないまま不眠不休の極限状態で働く医療従事者の姿――3月11日以降、連日テレビなどでこの病院の様子が報道されました。
なぜ石巻赤十字病院がこれほどクローズアップされたかというと、約20万人が居住する石巻圏の医療施設がほぼ壊滅状態となり、唯一、水没を免れ、自家発電機を所有していたこの病院に人々が殺到したためです。また、石巻市役所が浸水のため孤立、一時は300か所にまで膨れあがった避難所への医療提供やアセスメント(評価付け)も医師自らが担いました。結果的に救えない命も少なくはありませんでしたが、それを最小限に留める努力を、赤十字の組織力と機動力をもって全力で行ったこの病院の取り組みは、今後の災害時救急医療のモデルケースになるともいわれています。
かつてない規模で行われた過酷なトリアージ、津波被害特有の“低体温症”患者への対応、避難所の劣悪な環境が引き起こした肺炎――石巻赤十字病院が体験した死闘の100日間を追い、そこで生まれた様々な人間ドラマと交差させながら、今後の災害時救急医療の生きた教訓となるノンフィクションです。
内容説明
簡易ベッドで埋め尽くされたロビー、底をつく水・食料・医薬品、不眠不休の極限状態の中、命のとりでとなった病院スタッフたち。そのとき、地域病院は最前線の野戦病院と化した。災害医療ドキュメント。
目次
1章 地震発生(三月一一日午後二時四六分;災害対策本部立ち上げ、災害レベル3を宣言;赤・黄・緑・黒―トリアージエリア設置 ほか)
2章 石巻二二万人の瀬戸際(看護専門学校、避難所の二日目;取り残された避難所・渡波小学校;「全避難所をトリアージ」石井医師の決断 ほか)
3章 終わらない災害医療(薬を流された人々の生命線;感染症対策チームの避難所巡回;脳梗塞のリスクを高めるエコノミークラス症候群 ほか)
著者等紹介
由井りょう子[ユイリョウコ]
1947年12月、長野県生まれ。大学在学中から、女性誌などで雑誌記者として活躍。現在は、医療や介護関係、ノンフィクションの執筆を手掛ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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