出版社内容情報
昭和26/27年の未公開日記。
4年前に死去した山田風太郎は、死してなおファンが増えている希有な作家である。本書は先に刊行され、大きな話題を呼んだ『戦中派焼け跡日記』『戦中派闇市日記』『戦中派動乱日記』に続く昭和26~27年の未公開日記である。 著者29~30歳、本格的作家活動に邁進、江戸川乱歩、横溝正史、高木彬光らとの酒席交流、執筆各社からの原稿料、食糧品はもとより身の周りの諸品の価格など戦後復興に立ち上がる社会のありさまを克明に記す。また、結婚に至る経緯も記され、山田誠也・風太郎の内面を知る貴重な資料である。
内容説明
敗戦後、闇の青春時代を過ごした山田風太郎は作家への道を歩み始めた。戦後六十年、その暦程が初めて明らかにされる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
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山田風太郎のエッセイを纏めて読んだ流れから、刊行されている未読の日記も読んでみた。「戦中派不戦日記」の完成度(著者生前の刊行であるこの本は、後書きとは矛盾するが恣意的に編集されているという)は別格として、中でもこの本が一番面白いな。風太郎の盟友・高木彬光のクズぶりが兎に角酷い。本が売れて金も入り、女遊びに走るのはまだ良いとして、デビュー作にもその影が見える「女の身体に刺青があると興奮する」という彬光の特殊性癖のせいで、愛人が背中に墨を入れてしまった。愛人側の暴走だとしても、責められるべきは男の甲斐性だ。2015/04/21
Minoru Kakegawa
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著者はこの時期、年に50万円弱稼いでいたようだ。今の価値に換算すると(物価指数とかあって単純には比較できないらしいけど)2000万円ほどになるらしい。その割には、ちょこちょこ金を借りたり、また貸したりしている。よく働きよく遊んだ人だったんだなあ。2014/07/21
tekesuta
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高木彬光が愛人の妹に怒鳴り込まれて精神病院へ入院しようと画策したという話に爆笑。山風曰く「この着想そのものが一種の精神病ものといえばいえるのみ」乱歩氏曰く「高木は常識人のごとくみえて非常識なるところあり。山田は非常識のごとくみえて常識人なり。」 2010/05/28
慧
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★★2005/11/09