出版社内容情報
平穏な生活が突然! 巻き込まれ型小説の白眉
巨大ワニの化石が発見されて一躍全国区となった南海市。突然注目を浴びた地方都市の市民相談室主査・倉永晴之のイライラは募るばかり。しかも上司は汚職で逮捕されるわ、妻は交通事故を起こすわ、彼の小さな肩に降りかかるトラブルはとどまるところを知らない。 そんな折、市長から酒席で絡まれ、晴之は予想もしなかった暴行騒動の当事者となってしまう。平凡な市民生活を送る主人公が突然トラブルの渦中に巻き込まれ、闘いに目覚める。『どろ』、『かび』に続く著者の「巻き込まれ型小説」の第3弾。日常生活の中で誰にでも起こるかもしれない非常事態をユーモアとペーソスを絡めながら丹念に描き、最後は胸のすく結末へと導いていく。読んだ後に不思議なカタルシスが宿る小説です。
内容説明
巨大ワニの化石が発見されて一躍全国区となった南海市。市民相談室主査・倉永晴之のイライラは募るばかり。上司は不祥事で逮捕されるわ、妻は交通事故を起こすわ、小さな肩に降りかかるトラブルはとどまるところを知らない。そんな折、市長に酒席で絡まれ、晴之は暴行騒動にまきこまれる。ああ、今日も悲しき地方公務員。
著者等紹介
山本甲士[ヤマモトコウシ]
1963年生まれ。96年第16回横溝正史賞優秀作『ノーペイン、ノーゲイン』でデビュー
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆみねこ
32
南海市役所の市民相談室の係長倉永晴之は、毎日のようにかかって来る市民からの電話対応と、問題解決のために役所内の各部署とのやりとりに鬱屈を募らせていく。お役所的な仕事に怒りを止められない主人公には途中までは共感出来る部分はあったけれど、やややり過ぎなところと、腹黒いところは読んでいてもスッキリ出来なかった。こんな夫婦、いやだなあ。2013/07/06
なな
26
どうなっていくんだ?と ハラハラと心配してたら まさかの展開にびっくり。なんだか とってもいいなー。2021/02/04
8-nosu
17
市役所の市民相談室で勤務する公務員倉永。市民からの理不尽な電話や相談、それをたらい回しにするお役所、事なかれ主義の上司や同僚。ウンザリする日々の連続の中、少しずつ“とげ”を見せ始める倉永。上司の逮捕や妻の飲酒運転、市長からの暴行事件と次々に騒動に巻き込まれる倉永は、最後にはその“とげ”を剥き出しにする…舞台は大阪のため、終始関西弁の会話が続く。そのためか物語は刺々しさが漂うもの。倉永と妻の行動・言動には疑問符がつくところもあったが、結末はお役所体質に一石投じるものでスッキリした気持ちになれた。2017/02/26
くまんちゅ
15
市民からの苦情の窓口となる市民相談室の倉永春之が主人公。この設定からしてかなりストレスフルな展開が想像できますが、まさにその通り。市民からの苦情だけではなく、様々なトラブルに主人公が巻き込まれていきます。そのトラブルに巻き込まれていくたびに、主人公の春之がアクの強い性格になっていくのが面白い。ラストの展開も自分の想像とは違うもので、ちょっと予想外でした。2016/10/23
マト
12
あまりにも主人公がいろんなことに巻き込まれすぎて同情しつつも笑う。んで彼の人格の変わりようがまた極端というかね。けっこうしたたかでえげつないし、奥さんも酒で失敗してるのにさらにどっぷり酒に浸っちゃうところとかなかなかのクズっぷりやね。それでもこの作家さんの話の展開の仕方のうまさや引き込んで読ませる力量はやっぱりさすがやなぁと。お役所仕事の弊害や市民のうんざりするようなクレーマーっぷりも容易にイメージさせてくれて面白かったです。2015/07/06