スープの国のお姫様

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 349p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784093863537
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

謎たっぷりの、美味しいスープを召し上がれ

元料理人の僕は、別れた恋人から奇妙な仕事を紹介される。それは、湘南に建つ古い屋敷で、一人暮らしの高齢のマダムのために、毎晩一杯のスープを作ること。報酬は破格だった。
屋敷で、僕はマダムの孫娘である風変わりな美少女・千和に出会う。両親を事故で失くした千和は心を閉ざしていたが、母の遺した料理本を愛読し、古今東西の料理について膨大な知識を持っていた。幼い頃に母と離れ離れになった僕は、千和に自分と似たなにかを感じ、二人は少しずつ心を通わせていく。
終戦後に食べた想い出のポタージュ・ボンファム、ビールのスープ、画家ロートレックが愛したスープ、偽ウミガメのスープ、せかい1おいしいスープ……。僕と千和は力を合わせて、無理難題のようなリクエストのなかに隠された”謎”を解いていく。
そしてついに僕は、ずっと探し続けてきた「母と最後に食べた想い出のスープ」の手がかりを見つけるが――。
哀しみから再生し、明日を向いて歩む力をくれる6皿のスープの物語。


【編集担当からのおすすめ情報】
2014年4月映画公開の青春小説『大人ドロップ』でも注目を集めている著者は、現役の料理人。謎解き×料理の蘊蓄で二度おいしい食ミステリーです。たかがスープ、と侮るなかれ。スープという料理の奥深さも再発見できます。

内容説明

元料理人の僕は、奇妙な仕事を紹介される。それは、古い屋敷で、一人暮らしの高齢のマダムのために毎晩一杯のスープを作ること。報酬は破格だった。屋敷で、僕はマダムの孫娘である風変わりな美少女・千和に出会う。両親を事故で失くした千和は心を閉ざしていたが、母の遺した料理本を愛読し、古今東西の料理について膨大な知識をもっていた。一方、僕は、幼い頃に別れた母と最後に食べた「想い出のスープ」を探していて―。料理本マニアの少女×元料理人の僕。屋敷に封印された“悲しみの記憶”を解く鍵は、一杯のスープ。現役料理人が描く希望と再生の物語。

著者等紹介

樋口直哉[ヒグチナオヤ]
1981年東京都生まれ。服部栄養専門学校卒業。料理人・作家。フランス料理の出張料理人として活躍する。2005年『さよならアメリカ』で第48回群像新人文学賞を受賞しデビュー。同作で芥川賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆみねこ

64
樋口直哉さん初読み。湘南の古い大きな洋館に住む老婦人のために、夕食のスープを作るために雇われた1人の男。腕は確かなのに、どこか欠落している彼。一杯のスープをめぐるとても奥深い物語でした。丁寧に作られた美味しいスープを飲んでみたいです。2016/01/25

ひめありす@灯れ松明の火

62
ふんわりとした着地の、よくある美味しいものと日常の謎を絡めたストーリーかと思いきや、なかなかどうして地に足のついた、どっしりとした物語でした。スープしか所望しない老婦人と、その雇われシェフと、失くした味を求める女子大生の物語。探偵と助手にして師匠と弟子の若い二人。千和ちゃんと恋人同士になるのかと思いきや、そこは一線をちゃんと引くのね。と好感触でした。それにしてもスープの作り方って色々あるんですね。偽ウミガメのスープもまんざら幻の味という訳ではなさそうなのがびっくりでした。色々なのを食べてみたくなりました。2018/08/20

まるる

61
なんてお料理に詳しい小説家さんかしらと思ったら、本業はフランス料理の出張料理人だそうで、天は二物を与えちゃったんですね。大叔母様が登場するあたりから話の展開が急すぎたような気はしますが、温かいスープを頂くのと同様に心が温まり滋養になるようなお話でした。スープのレシピにまつわるエピソードも興味深かったです。ビールのスープ飲んでみたいな。最近やっつけで料理作ることが多かったけど少し反省。「本当に美味しいものは誰かが自分のために作ってくれた料理」これ忘れちゃいけないですね。2014/05/27

ゆみきーにゃ

59
《図書館》読メで出会った一冊。ゆっくりと時間が流れていくのが心地良かった。終わり方も良くて楽しめた。2015/01/14

ぶんこ

53
思い出の中でのスープを求めて作るシェフ、食べるマダムと千和。正解に導こうとするキサキ。孫のためについた悲しくて優しい嘘。マダムへのスープを作り続けるシェフにも、生き別れした母の思い出のスープを再現したくてシェフになったという過去がありました。たかがスープ、されどスープで、手をかけ材料を惜しまないなりのスープ、家庭の残り物から作ったスープ。誰とどこで食べたかが思い出の味のポイントのようです。千和やキサキの豊富な知識で、スープが作られた経緯がわかるのも面白かったです。2017/11/20

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/7944740
  • ご注意事項