内容説明
バッグ、サングラス、警察手帳、ハンドグリップ、腕時計。何かを拾うことで転回する彼女たちと彼らの運命の物語。巻き込まれ型小説の名手が描く、心にすとんと落ちる珠玉のハートウォーム・ストーリー。
著者等紹介
山本甲士［ヤマモトコウシ］
１９６３年生まれ。９６年『ノーペイン、ノーゲイン』で第１６回横溝正史賞優秀作を受賞しデビュー（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ﾓﾙｸ
116
拾い物によってそれを拾った人たちの人生が変わっていくというハートウォーミングな５つの短編集。ぐたぐた理由をつけずに早く警察に届けろよ！人のゴミ袋からものを持っていくなよ…と、ツッコミをいれながら読む。引っ込みじあんで他人との対話や付き合いの苦手なカバン屋のバイトの青年の話「セカンドバッグ」と高二から引きこもりしている20才の青年が自分に自信を持てるようになる「ハンドグリップ」が好き。どの作品も主人公が拾い物で前向きに生きることのきっかけとなる。最終話で登場人物たちのその後の姿を知るのも嬉しい。2023/01/10
mike
90
対人関係に自信を持てないカバン店でバイトをする男。イベントの司会ばかりをしている売れない女優。喧嘩っ早く仕事が長続きせず金に困っている男。いじめにあい引きこもっている若者。彼を事故で亡くし失意のどん底にいる女。彼等がある日、拾い物をしてその見えない力に引っ張られて行く。冴えなかった自分は次第に変わり始め、そして人生に大きな転機が起こる。人はちょっとしたきっかけで変わるのだよと、人生に少し躓いた人の背中を優しく押してくれるようなショートストーリー集だった。2023/04/30
ゆー。
65
「バッグ・サングラス・警察手帳・ハンドグリップ・腕時計…ひょんな事から落とし物を拾った人物達が前向きになっていく。5つの物語を読めたことが『ひろいもの』だった。 バッグの話で一人暮らしをする主人公が親のありがたみに気づくところに共感した。 善人に拾われたからよかったものの、悪人に拾われてたら…ぶるぶる((( ；ﾟДﾟ)))」2021/07/15
紫 綺
51
生きることが不器用な人たちが「ひろった」希望という宝物。考え方を変えるだけで人ってこうも変われるんだ！という5つのハートウォーミングな短編集。少しずつリンクしているところも楽しい。特に「サングラス」にじんわり泣かされた。2023/01/19
b☆h
51
予想通り、あるものを拾ったのをきっかけに心持ちが変化する連作物語。カバン、サングラス、警察手帳、ハンドグリップ、時計…最後の『ウォッチ』は、切ないラストに胸が締め付けられたけど、山本作品特有の温かさが沁みてくる。『バッヂ』は実際にしたら結構重い犯罪、と思いながらも一番考えさせられた。『正義感はあっても、それに見合う力を持っている奴はめったにいない。』は現実をうまく表している。全ては繋がり、どれを選ぶかでその後の人生は大きく変わることを教えてくれる。真剣に向き合ったと自負出来ることを積み重ねていきたいと思う2022/11/12
