出版社内容情報
ネコ化する作家が贈る「現在形」物語コラム
未来に「期待」しない。それでいて昔を「回想」もできない。年をとると頭の中の文法から未来形が欠落、過去形はあいまい――それじゃ猫と同じじゃないか! 本書は、「半分ネコになりつつある」と自らを語る作家・関川夏央氏が、ネコ化に抗う人に贈る「現在形」物語コラムである。
〈辛気臭い座業の作家たちが、夕方になると銀座のバーにつどったのは、酒場が同僚たちがいて、ホステスというきれいなOLがいる会社のように思われたからである。彼らは「通勤」したかったのである〉
〈毛沢東がもとめたのは政治ではなかった。革命と戦争だった。あるいは波乱の継続、卑小にいえば「政局」にすぎなかった。その意味で小沢一郎は毛沢東のミニチュアだと思う〉
〈かつて男たちは、風格ある老人になりたがった。今は、ひたすら若く見せるために狂奔している〉
〈私など商売柄、どこに住もうが構わないわけだが、イヌのようにベロを出して息をしていても、やっぱり東京にいる。私たちの仕事は浮き世とともにある。安コーヒー屋の喧騒は考えをまとめるのによい。結局東京が好きなのだ〉
――週刊ポストの大好評連載「やむを得ず早起き」、待望の書籍化第二弾。
内容説明
未来に「期待」しない。それでいて昔を「回想」することもできない。―それじゃネコとおなじじゃないか。ネコ化する人が、ネコ化にあらがう人に贈る「現在形」物語。続・片頬で笑うコラム45。
目次
1(文壇バーが盛況だった頃;貧相・悪相・奇相;将棋好き小説家の棋譜 ほか)
2(本の山が崩れて遭難;蔵書の行く末、人の運命;新宿で彼女がくれたブルース ほか)
3(やる気あるネコは修行に出る;オリエント急行のコーヒー・カップ;二十三年前に女子高生だった彼女ら ほか)
著者等紹介
関川夏央[セキカワナツオ]
1949年(昭和24)、新潟県生まれ。上智大学外国語学部中退。主な著書に、『海峡を越えたホームラン』(講談社ノンフィクション賞)、『「坊っちゃん」の時代』(共著/手塚治佃文化賞)、『昭和が明るかった頃』(講談社エッセイ賞)など。2001年、司馬遼太郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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