出版社内容情報
井沢 元彦[イザワ モトヒコ]
著・文・その他
内容説明
日本は古代から怨霊の存在を信じ、怨霊が主人公の劇はなかった。それを面という伝統的な道具を用いて、鬼神ではなく人間の亡霊を劇の主人公にしたことが、世阿弥の言う「申楽の能」つまり今日言う「能」の最大の功績なのである。加賀の一向一揆は、国一揆ではなく、純粋な宗教一揆なのである。その思想とは何か。それは、「阿弥陀如来こそ唯一絶対の救い主であり、国王・貴族といえども阿弥陀の下では一人の凡夫に過ぎない」という、強烈な平等思想だ。
目次
第1章 「懶惰の帝王」足利義政編―「無責任」将軍が招いた応仁の乱(室町幕府を弱体化させた「天皇の軍事問題」;一揆勢の「徳政令」公布要求を武力弾圧できなかった理由;徳政一揆を陰で操った「黒幕」畠山持国の“誤算” ほか)
第2章 日野富子と傀儡政権編―「半将軍」細川政元のクーデター(将軍義政の失敗に拍車をかけた日本史上最大の“悪妻”;京都「七つ口の関所」の入場料を横領した“強欲ぶり”;将軍義尚が犯した「軍事デモ」と「恩賞」の致命的ミス ほか)
第3章 国一揆と一向一揆編―律令制度の崩壊と新しい土地システム(畠山義就vs政長の軍隊に「完全撤兵」を要求した住民パワー;天才政治家細川政元が気づかなかった「惣国」の落とし穴;「自治共和国」を目指した武装農民の“支配者” ほか)
第4章 室町文化の光と影編―忘れられた日本文化のルーツ(世阿弥の正体と「能面」の仕掛け;将棋、この日本文化の最高峰;折り紙と風呂敷 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひろき@巨人の肩
92
無責任将軍・義政の後継者先延ばしが招いた応仁の乱。東軍・細川勝元、西軍・山名宗全を中心に大義なき戦乱は大名の家督争いへと発展。京都の戦後として歴史に刻まれる。更に悪妻・日野富子、半将軍・細川政元、戦国大名・朝倉孝景/北条早雲、足軽の登場、惣国自治共和国を目指した山城国一揆、浄土真宗・蓮如により復活した本願寺率いる加賀国一向一揆と、下剋上を含む実力主義の戦国時代へ突入。一方、混沌とする社会で日本文化のルーツ・室町文化か花開く。観阿弥・世阿弥の怨霊鎮魂のための能楽、マネーゲーム日本将棋、折り紙、茶道・花道。2022/12/03
背古巣
41
室町時代って私の中では空白時代なので面白く読めた。足利義政の無責任ぶりと、日野登美子の金への固執。それによって突入していく戦国時代。守護大名と戦国大名の違い。国一揆と一向一揆などなど…。この時代の文化が現代にまでつながっていることがとても興味深い。まあ、井沢氏の歴史学者へのダメ出しは健在でした。小気味いいですね!面白かったです(^o^)2021/05/10
あいら
17
やっぱり室町時代は苦手だなぁ😖 将軍が先頭切って身勝手なら、その妻も身勝手。身分の高い武家の人々も身勝手。寺社も身勝手。金の亡者だらけ。 そりゃあ世の中は戦国となって当たり前だよなぁ。 織田信長と言う規格外の人物でもなけりゃ、終わらせられなかったのも道理だな・・・。 しかしながら現代まで脈々と繋がる多くの「日本文化」の源流もこの時代に生まれたと言うのはおもしろい点だと思いました。 2021/03/16
とも
13
★★★★過去読み2014/10/05
かずお
11
★★★☆☆ 貰い物。応仁の乱のごちゃごちゃがよくわかった。無責任な人が上に立つと大変なことになるのは今も昔も同じ。名前も知らなかったけど、歴史上にはたくさんの偉人がいて面白い!2016/05/24