出版社内容情報
全宗は、甲賀の忍びを学ぶ中で医道と出会う。甲賀から追われる身になりながら、比叡山そして曲直瀬道三に学び、ついに秀吉に仕えるようになる。そして秀吉に後継ぎを残すため、全宗は子作りの秘策を尽くしたが…、?。
主人公の全宗は戦国時代に生きた実在の人物だが、波乱に富んだ人生にもかかわらず、歴史ファンにもいまだ知られざる人間である。今回、火坂雅志氏が見事にその謎の生涯を描き切った書き下ろし歴史小説。 甲賀の家に生まれた全宗は、義父にいたぶられ母との淫事を見せつけられて、彼を殺し家を出る。拾われた先で甲賀の忍びを厳しく教えられ、そこで医道と出会う。野心のため医の道を究めようと、全宗は甲賀より逃げ比叡山で学び、さらには還俗して医学の第一人者である曲直瀬道三に弟子入りする。医学の頂点を極めた彼は、竹中半兵衛を通じ豊臣秀吉に近づき、ついには仕えることになる。全宗は参謀として暗躍しつつ、秀吉の筆頭侍医となる。全宗は許しを得て戦乱で荒廃した比叡山の再興に取りかかり、名ばかりだった施薬院を無償で治療にあたる施設にし、大評判をとる。 そして秀吉の天下統一。以前、秀吉の子作りのために医術の面で秘術を施したが、石田三成の頼みで再び秘策を行うことになった全宗。果たして、その成否は？ 当時の医学の知識や調薬の方法、新しい南蛮医学をめぐる主導権争いなど、戦国時代の医学にまつわる興味深い話も盛りだくさんである。
内容説明
甲賀出身で比叡山の薬樹院に学んだ施薬院全宗は、師・曲直瀬道三を踏み台に豊臣政権の中枢に食い込む。秀吉の筆頭侍医となった全宗は竹中半兵衛、黒田如水、石田三成等の名だたる側近の中で異彩をはなち、天下統一、世継問題に重要な鍵を握った。今まで歴史の表面に登場したことがない、知られざる名参謀の野心と乱世を見事に描ききった話題の傑作長篇。
