地球人ライブラリー<br> ドクター アロースミス

地球人ライブラリー
ドクター アロースミス

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  • サイズ B6判/ページ数 281p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784092510364
  • NDC分類 933
  • Cコード C0397

出版社内容情報

20世紀初頭、アメリカ医学界に生きた青年の理想と幻滅。頑固かつ高潔な医学生マーティンは、金儲け主義の医学界で幾度となく挫折を繰り返しながらも、研究者になる夢を実現する。アメリカ初ノーベル文学賞作家の医療風刺小説。

 アメリカ初ノーベル文学賞作家、シンクレア・ルイスの著作である本書は、19世紀末から今世紀初頭のアメリカ医学界に生きた一青年、マーティン・アロースミスの理想と挫折を描いた作品である。頑固で高潔な主人公が、幼い頃から医学を志して大学で細菌学を学び、研究者としての道を夢見る。ところがその理想は破られ片田舎の開業医として生活をはじめることに。やがて彼は公衆衛生に目覚め、保健官としてアイオワ州へ赴く。その後の彼は、さらに波瀾万丈な人生をたどり、ようやく静かな研究生活を手に入れる。本書では、マーティンの医学生時代からアイオワへ旅立つまでをメインにした。彼が、純粋に研究者として生きたいとあがくその姿から、当時の拝金主義にまみれた医学界が浮かびあがる。金儲けしか頭にない教授、主人公の恩師で純粋に科学を研究し大学を追放された悲劇の人ゴットリーブ、悪徳製薬会社、患者の上手な扱い方をとく老齢の町医者ーー。それは、現代の日本の医療現場にも通じる切実なテーマである。痛烈な風刺小説であるが、膵臓でイタズラするなど医学生の実態や、主人公の結婚、そして恩師ゴットリーブとの感動的な師弟愛なども色濃く描かれており、読者を飽きさせない。

内容説明

志と情熱に燃える主人公、マーティン・アロースミスを取り巻いている環境はけっして恵まれたものではなかった。拝金主義と俗物根性にまみれた医療界。そして、マーティン自身も恋愛や結婚などで危ない綱渡りをくりかえしたり、融通のきかない性格のために周りからうとんじられたり、四苦八苦の生活がつづく。のちにペストの療法に情熱を燃やすが、それでも彼の胸は空しい。1930年にノーベル文学賞を受賞したルイスが医学界に足を踏み入れた青年の理想と現実のギャップに、伝染病の流行や恋愛を多彩にからませて描いた風刺小説。ピュリッツァー賞を辞退した幻の傑作。