出版社内容情報
川の流れに押し流される小舟のように、「運命」というに波に翻弄される人生。そこには、人と人とが出会うがゆえの、愛や憎しみ、喜びや悲しみがある。そんな人間模様を痛切に描き出した人間ドラマの傑作版。
▼第1話/老木の舞▼第2話/春の惑い▼第3話/片隅▼第4話/腐葉の森▼第5話/埋火▼第6話/左遷▼第7話/さかな▼第8話/空想地図▼第9話/夏の跡▼第10話/遠い唸り▼第11話/八月の空●あらすじ/麻薬常習者だったという過去を背負った女・由起。だが、それを一時の過ちと理解してくれた男と結婚、夫とともに郊外に転居してきた。だが由起は、牛乳配達人と話しているところを、噂好きの警察官の妻に見られてしまう。何もやましいことはないのだが、妙な噂を流されているのでは…とどんどん妄想が広がる。そんな時、警官の妻が、彼女をジョギングに誘った。だがジョギングの途中、さらに妄想に取り付かれた由起は、警官の妻を突き飛ばし、彼女を殺してしまった(第4話)。▼娘の結婚を控え、刑事の父娘が旅行をすることになった。だが娘は、妻子あるほかの男を愛していた。仕事、仕事でいつも家庭のことなど何も知らなかった父。今の娘の状態についても何も気づいていないだろう。だが、旅先の旅館で娘は、父が昔ここで、悲しい恋を終えていたことを知る。その時父は「実らせることができない愛なら、辛くても諦めるべきだ」と語っていたことを旅館の女将から聞かされる。その言葉に、父が