出版社内容情報
愛と憎悪、複雑な人間の感情を描く感動巨編
苦しみながらも、過去を語り続けるジェルミ。彼はかつて心を開いたバレンタインに会うため、エリックと共にスウェーデンを訪れる。再会で言葉を取り戻したバレンタイン。いよいよ物語の核心にせまる…!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
毒兎真暗ミサ【副長】
31
ジェルミの突然の自立に焦るイアン。闇からの魔王グレッグの登場でジェルミを力で支配しようとするイアンの葛藤こそが若者の脆弱性を表す。ワルキューレからのバレンタインの奪還と自殺したマージョリーの生還。なのにイアンとリンドンのお茶会はますますシリアス。「ひとりになった時、誰を求めているのかがわかります」傷持つリンドンはいつも的確。距離をおいた途端、飛び込んできたジェルミの剥出しの感情と遭難しイアンは堕ちるのか、それとも……。虐待からのPTSDに対峙する崖っぷち!悪魔の存在を破壊しながらまた創る、興亡の第九巻!!2023/07/03
そらねこ
23
ジェルミにどう語り掛け、どう接するのが正解なのか悩むイアン。逃げ続けて近づこうとしない(出来ない)ジェルミを追いかけ続けるイアンにも負荷がかかる。時に人は嘘をつく。唇は特に嘘つきだ。そして自分にも嘘をつきづづける。自分で自分が分からない。望んでることも分からない。心象風景が滅茶苦茶なジェルミの心を暴き続けるイアン。一年前のサンドラとグレッグを殺したその日、イアンがジェルミの傍に居れて良かった。二人で落下して遭難して…そして浮上してきて欲しい。2017/01/28
赤とんぼ
13
書いた感想がまた消えてしまいました(;^_^Aなんでだろう? イアンが傷口を無理やりほじくり返すことに、いらだつ。 カウンセラーは役立たずに思えるし。 本当の癒しとは、傷に真摯に向き合い、共に苦しむ相手がいるからこそ、というコンセプトなのだろうか。 でも、これほどの傷に立ち向かうには、ジェルミの健康でまっすぐな心がまだ育ち切っていないように思う。もっと安全な場所で、毒を出しながら、時間をかけてでも、彼の健康な心を育てて、それから、ゆっくりと、傷に立ち向かってもいいのに。ドラマティックではないけれど。 2018/05/12
辺辺
13
積本崩し。失礼ながら、この巻の到着点がどこにあるのかさっぱりわからないので、つまらなく感じた。こういう内容はもっと医療関係経験のある人の解説が欲しい(ただファンからのファンレターみたいな解説がうざいよ)。少女マンガの良く描く「恋」よりも「愛」に重点を置いていることが驚きですけど、けどね、個人的にこうもっと心理学的な観点で「家庭内性的虐待」というテーマに取り込んで欲しかったかな?2018/02/10
阿部義彦
10
ジェルミは夢遊病のような発作を起こす。マージョリーはジェルミの目の前で死の淵から生還する。そしてイアンとの駆け引きは、全てサイコドラマ形式で進行する、この描写は見事です。しっかり距離を置くことを誓ったイアンしかし、父の仮面をバトンタッチされるとは、最終巻読むのが怖い。2015/10/03