出版社内容情報
珠玉の短編、吉野朔実のイノセントワールド
アブラゼミの鳴き声、進まない宿題、お父さんの本棚とお母さんの赤い口紅、そして路地に潜む怪しい人影…。夏休みを過ごす少女たちの倦怠と混沌を描く「幼女誘拐」ほか、珠玉の短編からなる吉野朔実の世界。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鴨のオレンジソース煮
15
いったい何年ぶりに手に取ったのだろう。繊細で優しい印象的な絵がやっぱり好きだ。登場人物の心情が細かく汲み取られていて、潔癖なイメージがする。子供らしからぬ、大人らしからぬ、誰でも持っていそうな共感できる感情に引き込まれる。ゾっとする話もあり、グッと悲しくなる話も、プッと吹き出しちゃう話も上手。まだまだ読んでいない本も沢山あるが、これからも新しい話をもっともっと描いて欲しかった。お亡くなりになられてとても残念で悲しい。2017/12/14
還暦院erk
12
全巻大人買い。本日第1巻爆読読了。第2話は昔読んだことがあった…。美しく花いっぱいなのにしんしんと怖い世界…。第7話p293「今回は相撲部屋モノですか とってもどすこいですね」「そう ホモこそ少女の自己完結した世界にふさわしい…」というやりとりも昔読んだことがあったようだ(でもオチにはビックリした)。こういったさりげないユーモアとシニカルさが吉野先生の持ち味だったなぁ。意外にも画面が白く(当時としては)大ゴマも多いのだが、手抜き感の一切無い繊細な作画が見事!カラーページ全部天然色で見たい(涙)!2019/04/27
きさらぎ
5
短編集。この人の感性は相変わらずすごい。
コリエル
4
電子書籍版を買って久し振りに読んだけれど、全く色褪せない鮮烈な短編集。全部凄いのだけれど、あえて挙げるなら幼女誘拐が印象的。「すこしだけ 死んでみる」とあの角を曲がった幼女がどうなったのか。うす寒い余韻がいつまでも残る。2016/04/06
ぼっせぃー
4
この短編集シリーズがあらゆる漫画の中で一番好きかもしれない。読み返すのももう何度目かわからん。場面場面で発される言葉が鋭すぎて、その中に全てが込められ過ぎていて、いつも泣きそうになる。「欲しかったのは くまのプー でも ぼくは 百科事典が欲しいといったのだから」こういう一文がさらっと出てきてしまうのが凄いんだよ。2012/01/06