出版社内容情報
あまりに儚い青い季節に、得るものと失うもの…。月刊IKKIに掲載された読み切り「ハピネス」「雲のへや」ほか短編8編を収録した、美才が奏でる連作青春狂想曲!!
▼第1話/嬲られ踏まれ そして咲くのは激情の花▼第2話/ロリータ7号▼第3話/あくまのうた▼第4話/もしも▼第5話/ハピネス▼第6話/雲のへや▼第7話/インディゴエレジィ▼第8話/アングラ★ドール(原作:りずむ)●あらすじ/ある日、いじめられ、傷だらけで河原に佇んでいた中学2年生の拓也は、自分と同じように体じゅうに傷を負った美少女・ルカに出会う。「私にはわかるよ。君もこっち側の人間なんでしょ?」と語りかけてきた彼女が立っていたところは、かつてロックバンド“オキシドール”のボーカル・聖夜が飛び降り自殺を遂げた場所で…(第5話)。●本巻の特徴/いじめを受ける少年が出会った“自分と同じ側の少女”。純粋故に騙され続ける少女が出会った“始めての理解者”。青い季節に彼らは出会い、そして…? スピリッツ連載作『π-パイ-』とは全く異なる側面を見せた、美才・古屋兎丸の連作短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
115
パピルスかと思って読んでいた。ハピネスというにはあまりにもsadness。10代の妄想をうまく描写しているのかもしれない。10代で本当に見えるといいものはなんだろう。2015/01/03
袖崎いたる
11
初めての古屋兎丸作品かもしれない。いやはや、ちくちく来ますよ。胸に傷をつけられるというか、胸の奥で忘れかけていた古傷が実のところ生傷のままだったというか、そういった感興を覚える読書体験だった。表紙の少女の涙で描き浮かべる「ハピネス」の文字も、収録作品群をくぐった後では涙なしに浮かべられる幸福なんて…みたいな切ない気持ちで眺めてしまうかのようで。どの話にも学校が控えていて、うごうごと蝟集しきれないハリネズミのごときエゴが青春に晒されている。綺麗で純粋なもの(美少女など)が汚くて澱んでる私を救済する感じかな。2017/04/23
阿部義彦
8
今は無くなった雑誌、「IKKI」から、刊行された、兎丸先生の短篇集。リリカルで残酷、狂気寸前の、読む人を選ぶ作品達です。コミカルは少なく、可成り(とゆうか、殆ど)あっちの世界にぶっ飛んでいます。ロリコン、悪魔崇拝、幻視者、精神薄弱、等が、崇高とも思える筆致によって描かれてます。涙が出る程です。中でも「雲のへや」は、私の中では兎丸さんの、ベストではないかと、思われる出来です。 端正な絵柄で、ゴシックな世界をここまで書けるなんて凄いです!2015/05/17
片桐安十郎
3
古屋兎丸先生の短編集 この本のタイトルにもなっているハピネスはハッピーエンドに終わるかと思ったら最後のページでのまさかのバットエンド 少しブラックな話も本当うまいよなと感じます。 最高の一言です。2014/08/18
めがけん。
2
超久々に読んだけどよーく覚えてる話とすっかり忘れてた話があったなあ。最近色々と一般誌で連載していたような、兎丸氏の青春物の原点がここにあるような気がするし、この短編集を幾らか洗練させると乙一コラボの『少年少女漂流記』に繋がるのではないだろうか(よくよく調べてみると『ハピネス』が出てから約一年後にコラボ出してるんですね)。女の子が脱いでも驚くほど色気が感じられないのがまた一興。2013/08/05