出版社内容情報
考古学者にしてオプ（探偵）。元ＳＡＳ（英国特殊空挺部隊）のサバイバル教官。さまざまなキャリアを持つ男・平賀＝キートン・太一が、世界をまたにかけ、保険調査員として難事件に挑む、知性派サスペンス!!
▼第１話／屋根の下の巴里▼第２話／小さな巨人▼第３話／ラザーニェ奇譚▼第４話／アレクセイエフからの伝言▼第５話／すべての人に花束を▼第６話／黒い森▼第７話／昼下がりの大冒険▼第８話／赤の女●登場人物／平賀＝キートン・太一（母は日本人、父は英国人、英国国籍所持。オックスフォード大学出身、胡桃沢大学「考古学」講師兼フリーの保険調査員。元SASサバイバル教官）●あらすじ／東京の大学を首になり、パリのシモンズ社会人学校で教鞭を執るキートン。しかしこの学校も、もうすぐ廃校になることが決まっている。そんなある日、キートンは、パリを訪ねてきた娘・百合子に恩師であるユーリー・スコット教授とのロンドンでの思い出話を聞かせる。そして最後の授業に臨んだキートンは、恩師から学んだ「学ぶことの大切さ」を生徒たちに説くが、同じ事を言っていた先生がいたということを生徒から聞かされる（第１話）。▼西ドイツ赤軍の幹部、ローザ・レーネという女を自首をさせるために動いているキートン。だが、彼女には５万ドルの賞金が懸けられていた。賞金稼ぎの男たちから手を引けと言われたキートンだが、彼らの仲間がテロリストに捕えられてしまったことから行動を共にすることに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あん
60
『屋根の下の巴里』と『アレクセイエフからの伝言』がお気に入り。一つ一つのお話が、短くても奥が深くて魅了されます。「人間は一生学び続けるべき。人間は好奇心、知る喜びがある。なぜ、学び続けるのか。それが人間の使命だからです。」ひとつひとつのセリフが重たいです。いつまでも学び続ける気持ち、向上心を持ち続けられる自分でありたいです。2015/01/04
Y2K☮
31
2024年はここから。表題作に加えて「屋根の下の巴里」「昼下がりの大冒険」など秀逸な短編のオンパレード。パリの社会人学校で教えているから、キートンはフランス語が堪能なのだろう。イタリア人の女の子と親しく話しているので、たぶんイタリア語も。ドイツが舞台になることも多いゆえ、あるいはドイツ語も。語学学習は実践チャンスに乏しいとなかなか続かないけど、スペイン語をまた学びたくなってきた。あと「赤の女」の余韻の残し方が見事。これ以上は野暮というギリギリで言葉を止めるのは簡単ではない。今年も今作が生きる指針のひとつ。2024/01/01
Y2K☮
30
まずは奇しくも平成元年に出た一冊。アニメのサントラを聴きつつ「屋根の下の巴里」を読み、決意を新たにした。人は何のために学ぶのか。何のために働くのか。お金は必要だけどそれだけじゃない。キートンは生活のためのオプの職すら自然体で楽しもうとしている。危険な仕事の中で考古学に役立つ何かを探したり、学んできた知識を実践したり。「昼下がりの大冒険」も身に沁みた。ヘイゼルは小説を書けばいい。子どもの頃みたいなわくわくした気分を忘れずに。もう十分大人なんだ。背伸びしてスタイルを気にしなくていい。結局は人生楽しんだ者勝ち。2019/05/01
眠る山猫屋
17
『赤の女』、『昼下がりの大冒険』、『ラザーニェ奇譚 』などなど三巻はちょっとファニーで読後に微笑めるようなストーリーが多かったかな。ゲストの皆さんにも再会したくなるような。2016/04/27
剛腕伝説
16
巻頭話【屋根の下の巴里】やっとありついた大学講師の職だったが、その大学は経営難で閉校間近。講義をしながらかっての恩師ユーリー.スコット教授の言葉に想いを馳せる。「人間はなぜ学ぶのか？それが人間の使命だからだ」。因みに娘の百合子はユーリー教授の名から名付けた。トルコ移民を付け狙うドイツ極右市民との戦いを描いた【黒い森】、西ドイ赤軍と、褒賞金目当ての賞金稼ぎ、組織から脱退しようとする、財閥令嬢を救おうとするキートンとの思惑が絡み合う【小さな巨人】等々。2021/09/01
