出版社内容情報
借金のカタに売られてしまったユキ子。町長の妾としての毎日が始まった。町長の家で、元・妾で現・正妻の鳴子、誰が母親かもわからない不思議な息子・肉彦と暮らし始めるが……。『夕方からのおともだち』同時収録。
▼第1章/雪子さん▼第2章夕ごはんから朝ごはんまで▼第3章1節/料理屋の息子 前編▼第3章2節/料理屋の息子 後編▼別章1節/夕方のおともだち 前編▼別章2節/夕方のおともだち 中編▼別章3節/夕方のおともだち完結編●主な登場人物/浦山雪子(親の借金のカタに町長の妾になる。町長の家で暮らしながら、高校に通う)、海場太郎(海場町の町長。妻は元同級生)、鳴子(町長の正妻。毒薬マニア。元は妾だったが、元々の正妻を毒殺し、現在は正妻の座におさまっているという噂を持つ)、肉彦(町長の息子、のはずだが、母親が誰なのか、父親も町長ではないかもしれない、という不思議な存在の子)、佐場(画家。海場と鳴子とは同級生。以前、鳴子と駈け落ちしようとした過去がある)●あらすじ/ユキ子は借金のカタとして親に売られてしまい、海場町・町長の妾として彼の家で暮らすことになった。そこには、鳴子と肉彦という、ひと癖もふた癖もある人物たちがいた(第1章)。▼町長が画家・佐場を連れて帰ってきた。誘われるまま佐場に付き合うユキ子。そこで佐場はユキ子に「こんなところにいてはダメになるから、一緒に駈け落ちしよう」といいだすのだった(第2章)。●本巻の特徴/
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
blackstone
23
作者がかつて「森山 塔」と名乗っていた事実を知り読む。やっぱり森山 塔だった…。浦山雪子は親の借金のカタとして町長の妾になる。町長は海場太郎(町長の名前は代々「海場太郎」だそう)。正妻の鳴子は毒薬マニアで元は妾だったが前の正妻を毒殺し正妻の座におさまったという噂を持つ。息子の名は肉彦。町長の息子、のはずなのだが母親が誰なのか父親が町長かもわからない、と自覚してる。この町は町長に完全支配されており、空き教室でこっそり雪子に手を出した同級生は翌朝、存在しなかったことにされていた…。少しエッチ、非常に難解。2017/08/16
アズル
11
「あっ、これはキクチくん」年末の全巻買いで、この本を買いました。そうだ、この本は大学時代に付き合っていた彼氏の友達・キクチくんの部屋にあって読んだんだった、多分。雪子ちゃんのように、イカの虫でお腹を壊したことも思い出しました。2019/01/11
かおる
5
再読。特殊性癖もここまでドライに淡々とシュールに描かれていると、かえって清々しい。このドライな視点と描写は後の連合赤軍を題材にした「レッド」シリーズに通じるものがある。『夕方のおともだち』のSM女王ミホさんがなんだか素敵に見えてしまう不思議。「あなたの痛みと叫びと快楽の全部が料金となり、やがてこうして実を結んだって(クルマを買えたって)わけ」2022/01/28
さえきかずひこ
4
15年ぶりくらいに再読。やっぱり良い。2013/09/08
ますりん
3
このシリーズは短編集なのかしら。親の借金のため高校生で市長の妾になった雪子さんの物語(おっ、肉彦くんがいる)と、「夕方のおともだち」を併録。この表紙の破壊力たるや。ジャケ買いで買った人も多いんだろうな。こんなにシュッとした女性の後ろ姿を描けるのは山本直樹さんと江口寿史さん、上條淳士さんくらいかと。山本直樹マイブームが止まらない。2022/08/06