感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
jamko
9
『あのひととここだけのおしゃべり』でよしながふみが紹介してたので読んだんですが大傑作すぎた…!やがて女性参政権運動に身を投じる卯乃と、その美貌と度胸で財界をのし上がっていく咲久子。東北の村からたった12歳で東京の工場に働きに出た、正反対の二人の少女の友情が胸熱。登場人物たちはフィクションだけど近代の日本の歴史をしっかり描いてあるので歴史ドラマとしてまず読み応えあるし、搾取される労働者たち、ましてや女性、という視点から描かれる戦前の日本社会のがシンプルに辛い&野蛮。→2021/05/17
ゆーいちろー
3
近代女性史とフェミニズムという思想を力強く取り入れているこの娯楽マンガは、1985年から連載が始まったという。記憶はあてにならないが、この時期からフェミニズム論客の田嶋陽子氏や上野千鶴子氏を見かけはじめたような気がする。経済的にもバブル期を目前にしたこの時期、この物語は描かれるべくして描かれたという印象をいま読み返すと受ける。本巻随一の名場面はやはりタイトルの由来が明かされる部分。「青踏」を卯乃に渡しながら森が言う「この中にはきっと卯乃ちゃんの欲しいことばが書いてあると思うよ」というセリフはやはり感動的。2012/12/27
YORIKO
3
仕事関係の方から大正時代の参考文献はないか…と言われまして。でも、私の大正の知識は「はいからさんが通る」「ヨコハマ物語」そして、この「陽の末裔」でせいいっぱい。何度読み返しても、咲久子がステキ。最初に読んだのは十代だった。自身の力で上りつめていく姿に憧れたなぁ。いま読むと、力強く堅実に生きる卯乃になんというか、敬意をはらいたくなる。偉すぎる。2012/03/02
みき
2
再読。やっぱり面白い。 フェミニズム史を絡めた大河ドラマ。キャラとしては圧倒的に咲久子が魅力的。強烈な自己中だけど魅力的な少女漫画の主人公って珍しい。卯乃ちゃんは読者の共感しやすい等身大のキャラなんだろうけど、個人的には咲久子の方が共感できた。自分の魅力はのしあがるための武器であり、押し倒した方が屈服してるんですね、わかります。少女漫画なのに主人公たちがやがて結婚して母となり、おばさんになっていくのも大河っぽい。骨太の作品。2019/01/18
ゆり
2
大正時代の女性たちをこの視点から少女漫画で読めることがすごく新鮮で面白い。咲久子の悪女っぷりがこの年でお見事。個人的には卯乃の方が好みですが、全然違うこの幼なじみふたりの友情が一番好きだったりしました。2012/11/24