内容説明
天下一。信長の鉄炮隊を率いた男、苛烈なるその生涯。
著者等紹介
山本兼一[ヤマモトケンイチ]
1956年7月23日、京都府京都市生まれ。同志社大学文学部卒業。99年「弾正の鷹」にて小説NON創刊一五〇号記念短編時代小説賞を受賞。2002年処女長編小説『戦国秘録 白鷹伝』を刊行。04年『火天の城』にて第一一回松本清張賞を受賞。05年同作が第一三二回直木賞候補となるなど、時代小説界注目の新鋭作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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なつきネコ
14
橋本一巴という、かなりマニアックな人物を主人公に書いた事に驚いた。火縄銃を中心の話はあるが橋本一巴とは。信長の火縄銃の師匠というだけあって火縄銃黎明期をうまく描けた。しかし、今まで読んだ主人公と違い、欲のない鉄砲狂いとして、書かれているのが珍しい。ゆえに欲により回る戦場の悲惨さに心が乱れていく、一人の男としての悲哀を感じられた。彼が理想とする人間から、外れていく事の葛藤や、逆の人間である信長の対比がまた、良かった。信長に鉄砲の存在を教え、歴史を変える役割を担った橋本一巴だが、彼の存在を印象づけた良い一冊。2016/11/22
マサ
6
面白かった。信長に翻弄される砲術師の葛藤が興味深い。孫一との敵味方を超えたかかわりが清々しい。2017/10/27
koba
6
★★★★★2012/07/08
藤枝梅安
6
「火天の城」で松本清張賞を受賞した作家の書き下ろし。 「火天の城」同様、装丁は北村さゆりさん、題字は北村宗介さん 織田信長が元服前、吉法師と呼ばれていたときから物語が始まる。 主人公は織田家鉄砲頭・橋本一巴。 鉄砲伝来から合戦に使うようになるまでの過程が丹念に紹介され、 それとともに信長が勢力を広げていく様子が描かれている。 鉄砲そのものだけでなく、弾丸や火薬の調達合戦も言及されている。2010/02/07
コウラク
4
毎回戦国のマイナー職業にスポットを当てる山本氏。今回は織田の砲術師橋本一把。ライバル雑賀孫一も魅力的です。特に同じく鉄砲放ちである弟・吉二の死に様にはグッときます。日本を舞台にした作品ながら、外国の広い世界の気配を感じる戦国時代小説にはどうしても惹かれてしまいますねぇ。2013/06/02