内容説明
東京で大学進学を目指す原岡凛一。京都の大学でフットボール部のOBとして活躍する氷川享介。二度とない、ふたりの季節を描く書き下ろし長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
108
少年たちがとても儚くて、それでいながら強いのに惹かれます。特に凛一が大人になりきれないのに、大人にならなければならないのが突き刺さりました。皆が大切に想っているのに、それに頼ることなく、孤独な中に佇んでいる。そこがもどかしくもあるけれど魅力としても感じてしまいます。狡くて不器用でいながらも背伸びする凛一。だからこそふとした瞬間の弱さに胸を締め付けられました。美しい少年たちに癒されます。2017/04/26
扉のこちら側
41
再読。繊細で折れそうな少年達。大人たちもみんな思わせぶりだし、はっきり主張できない凛一がじれったい。2008/05/27
藤月はな(灯れ松明の火)
13
(凛一について酷評がありますのでお気を悪くなさるかも知れません)正午(まひる)に起こった悲しい出来事に胸が苦しくなりました。あいかわらず、一番好きな人に自分の気持ちを素直に出せず、他の人に寄りかかったりする凛一は個人的に見ても謙虚を装いながら自分の曖昧な言動で他人を傷つける傲岸不遜な人物にしか思えてなりません。周りの人々が凛一に向かってきつい言葉を吐くのも至極、当然かもしれません。それとも凛一自体、何か人に苛めたくなるような雰囲気を持っているんでしょうか。2010/03/17
香穂
11
正午の変貌ぶりにショック。新登場の千迅は千尋に毒要素を増した感じ? 相変わらず凛一の多情さや氷川の鈍さに苛々しながらも、やっぱり千尋兄さんに心持ってかれた巻でした。2010/12/25
miki
10
繊細。壊れてしまいそうなもの、そういう儚げなものに心は揺れる。苦衷を乗り越えて美しさは強さを兼ね備えるものなのかも。一瞬の今も愛おしく感じるようになるのかも。2013/04/25