内容説明
何かを食べたい、ということは、誰かを抱きたいということだ。食と性愛にまつわる9つの短編。
著者等紹介
井上荒野[イノウエアレノ]
1961年東京生まれ。成蹊大学文学部卒。89年「わたしのヌレエフ」で第1回フェミナ賞を受賞。児童書の翻訳家として活躍する一方で2001年に初の長編恋愛小説『もう切るわ』を発表。2004年『潤一』で第11回島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chimako
106
夫のお昼用にご飯のを炊くのを忘れたら一言も口を利かない。せめて好きなものをと残業から帰り慌ててキーマカレーを作った。阪神の試合を観ながら読んでたら「キーマカレー」が出てきて、話の納め方が良くて何だか泣けてしまった。待ってる人のためにカレーをテイクアウトしようとする男性。ひと筋縄ではいかない二人だけれど「しみじみと幸せじゃないの」と声をかけたいなぁ。美味しそうなものが脇役の短編集。「煮こごり」と表題作「ベーコン」が好きだった。2016/04/07
kumicom
59
私、井上荒野さんて初読みだったかな。タイトルから、「食べ物にまつわるお話を集めた空腹を感じさせるような短編集」だと思っていたんだけど。うーん、食と性を結びつけた短編集でしたか。ねっとりした生々しさがちょっと私にはあわずでした。半分以上「不倫」が関係していたっていう印象しかない。「食べる」ことが好きな私としては、そういう薄暗いことにあえて関連させてほしくなかったな。もっと世間体を気にしないクリアな思い出と一緒に語られていたら、アイリッシュシチューも煮穴子の煮こごりも、もっと美味しそうに輝いただろうに。2015/08/21
きさらぎ
46
様々な事情を抱えた9組の男女。妻が妊娠していることも言わずに「昨日子供が生まれた」といきなり言い一番最初に知らせたことで許してもらおうとする男。「合意だよね」と確認する男。妻と別れられないから週一でしか会えず、翌日まで一緒にいられないことを辛がっていたのに実は一人暮らしだった男。別居した妻にも誰にでも彼女の存在を聞かれれば話すけど自分からは話さない男。本当にクソ男共だ。恋人に全てを打ち明けているわけではないけれど、打ち明けるのが怖いのではなく中身を見せるだけの時間をまだ一緒に過ごしていないだけ。もう少し。2018/04/23
とりあえず…
32
それぞれの章に料理の名前のタイトルをつけた短編集。食べ物って生き物にとって当然大切なものなので、そのビジュアル、言葉の響き、匂いだけで蘇る記憶というものがあり、それぞれに過去の記憶を呼び覚まされたような少し遠い感覚の短編集でした。好みは表題作の『ベーコン』と『煮こごり』。ちょっとほっこりできたのは『ミートパイ』と『キーマカレー』でしょうか。ちゃんとそれぞれに味わいました。御馳走様です。2016/12/06
roomy
27
数年前に読了していたようですが再読してみて料理の話は好きだけど不倫とかの設定が好みでないので感想を書かずにいたんだとわかりました。笑2017/04/18