氷結の森

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  • サイズ B6判/ページ数 427p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784087748420
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

直木賞受賞作『邂逅の森』に連なる森シリーズ完結編。
第一次世界大戦後、過去を引きずる柴田矢一郎は故郷の秋田を離れ、樺太の鰊場、伐採現場…と流浪の生活を続けていた。そんな彼を姉の仇と狙う男が出現し…樺太、ロシアを舞台に描く過酷な男の人生。

内容説明

日露戦争から生還した柴田矢一郎は、故郷の秋田県阿仁を離れ、職も住まいも転転とする流浪の生活を続けている。そんな彼を10年もの間、追い続ける男がいた。雪深い森で、男から散弾銃を浴びた矢一郎は、危機一髪逃れるが…。さらなる過酷な運命が、矢一郎を待ち受けていた。直木賞受賞作「邂逅の森」に連なる“森シリーズ”マタギ三部作完結篇。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

クリママ

42
森シリーズ3作目。マタギシリーズでもあるが、今作はかつてマタギだった男の物語。秋田から樺太に渡り、樺太の鰊場、伐採現場を流れていく。ニシン漁、山林での伐採の仕事の猛々しさ、厳しさ、そして樺太の厳寒はひしひしと伝わるものの、マタギという彼にとって唯一の仕事や故郷を捨ててまで逃げ続けなければならなかった必然性が見えない。そして、ロシア内戦、尼港事件にも巻き込まれ、焦点も絞れない。「邂逅の森」が素晴らしかっただけに、残念。2024/02/29

B-Beat

30
◎面白かった。マタギと呼ばれる東北地方の猟師で日露戦争に従軍した男が主人公。当時日本の領土になったばかりの樺太南部から間宮海峡を挟むロシア沿岸部が舞台。時はロシア革命の勃発前後の厳寒の冬。主人公は狙撃の名手。先住民に日本人や中国人そしてロシア人が絡む展開の中で描かれる主人公の生き様にまず共感を覚えた。ラストは「邂逅の森」を敢えて意識したというか違いを見せたというか。殺戮や戦闘の描写が多い中、いずれの登場人物にも激動の時代の息吹が強烈に感じられ、それが返って爽やかな読後感をもたらしたかなと。2013/02/16

20
マタギ3部作の第3弾。今回はマタギの話はほぼなしです。追ってから逃げる為と香代に借りを返す為 樺太からシベリアへ渡った元マタギの柴田矢一郎。喧嘩も強いし射撃の腕もピカイチ、おまけに容姿もなかなかで女性にモテモテ。だけど何にも依存しない一匹狼的なかっこよさ。3部作一気に読めて大満足です。2007.01.302015/08/27

さんつきくん

19
骨のある作品でした。森シリーズ「邂逅の森」を読んで「マタギ・熊との対峙」の描写に感嘆した人、「登場人物の人間模様」に感嘆した人の2通りがあると思いますが、この「氷結の森」は後者の「登場人物〜」に感銘を受けた方にオススメ。熊谷達也作品特有の細かい人物設定と史実に基づいた歴史的出来事に絡めた本作も読んでいて相変わらず面白い。主人公の矢一郎は秋田のマタギだったが、ひょんなことから当時日本領だった樺太へ渡る。2013/04/13

藤枝梅安

19
この作家独特の冷徹・硬質な文体は読むものに「寒さ」を体感させるほどの力を持っている。弱者の視点に立ち、歴史の裏側を見ていくという、この作者の新しい地平が現れた作品と言える。「邂逅の森」「相剋の森」に続く「森」シリーズ3作目にして完結編。日露戦争から生還した柴田矢一郎は故郷である秋田県阿仁を離れ樺太で生活している。季節雇いの重労働で自分の体をいじめながらの一人暮し。彼を追い、命を狙い続ける義理の弟が彼を追い詰めるが、間一髪、知り合いの先住民に助けられる。2010/08/23

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