相剋の森

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  • サイズ B6判/ページ数 360p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784087746709
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

「今の時代、どうしてクマを食べる必要性があるのでしょうか」秋田県阿仁で行われたマタギ親睦会。都会育ちの女性編集者・佐藤美佐子の発言が、会場に波紋を巻き起こす。その後、動物写真家・吉本憲司の言葉「山は半分殺してちょうどいい」をきっかけに、マタギ取材を進める美佐子が見たものは…。峠を越え、沢を渡り、谷を跨いて生業をなす男たち。そして、彼らに対峙する美しくも厳しい自然。東北の山奥で、今、何が起こっているのか。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

うわじまお

54
「邂逅の森」の未来のお話。現代のマタギ問題に興味を持った、女性ジャーナリストの自然、自分、他者との対話で物語は進んでいく。主人公である彼女を、家庭問題で悩むマタギ、動物カメラマンなどが支え、様々な問題をクローズアップ。実は血がつながっていた二人。。。いろんなことを考えさせられる小説でした。2017/04/04

クリママ

38
取材のため、東北、北陸のマタギの親睦会に参加したた女性編集者。何でもわかっているつもりの都会の女性特有の目線で狩猟について思い込んでいたことが、人と出会い、話し、呑み交わし、クマ猟に同行することによって、変わっていく。そしてそれは、とりもなおさず、一読者である私の考え方も、読み進めるのにつれて変わっていくことでもあった。食べて、生きていく上で一番重要なことが見えない現代の生活。「山は半分殺してちょうどいい」、その言葉の意味が少しは理解できたかもしれない。2016/05/04

まるぷー

26
山形県との県境に近い新潟県の熊田の村でマタギとして熊狩をする猟師の生きざまをライターの佐藤美佐子が追いかける。「今の時代、クマを食べる必要性があるのか」とマタギの滝沢に詰め寄る。動物愛護と自然保護、山深い猟師として生きてきた歴史を美佐子は、春の熊狩に参加することにより理解を深め歩み寄る。「山は半分殺して(のして)ちょうどいい」ある程度、人が手を入れ山の恵みを利用しながら暮らす、そこに相剋の理念を感じられた。里に降りてきた熊を殺処分だけではなく奥山放獣による人と熊の住み分け共生の必要性も感じた。2022/03/31

momo3626

25
現代の日本で、熊を狩るということの意味、自然の中で、供にどうつきあって生きて行くべきかを問いかける。マタギたちは、「山は半分殺(の)してちょうどいい」そうすることで、山を守りつつ自分たちも守っている。山の神様の気分次第で、熊と命をかけて勝負する。人間の一方的な楽しみ方(登山、アウトドアライフ)は、自然の美しくて都合のよい部分だけを楽しんでいる。「自然を保護する」という風潮の現代、人間は「自然」を見下してはいないか・・・本来は「人」も、自然の一部。自然に対する畏敬、畏怖の念を改めて、問いかける。2015/11/23

25
マタギ3部作。自然と人との関わり、自然の中で生きる動物と人間のバランス。地元新潟の最北端の町、山北町でのクマ狩りのシーンも最後までとても丁寧に描かれていました。2段組、読み応えのある良い作品でした。面白かった。2003.10.302015/08/22

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