飢餓の娘

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  • サイズ B6判/ページ数 399p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784087734195
  • NDC分類 923.7
  • Cコード C0097

内容説明

少女「六六(リュウリュウ)」には出生の謎があった。大飢饉の直後に生まれ、凄惨なスラム街に育ち、あたかも生まれながらの飢餓の魂をかかえた娘だった。18歳の誕生日が間近かに迫った1980年から物語が始まる。彼女の家は重慶のスラム街にあり、狭い部屋に父母と6人の姉妹兄弟がひしめき合って暮らしていた。末っ子の「六六」は、しばしば余計者、邪魔者として邪険に扱われてきた。家族が住む凄惨なスラム街の様子、作者自身の生身の痛切な体験―影のようにつきまとう男の気配、自らの出生の秘密、恋。人間としとての尊厳を求めてこの町から絶対に抜け出す決意をしたときに運命的に出会う「詩」と才能の目覚め…。飢餓の魂は救われるのか?深い感動とともに読者の魂も癒されていく。

著者等紹介

虹影[ホンイン]
詩人・小説家。1962年、四川省重慶生まれ。89年、北京魯迅文学院入学、上海復旦大学にも学ぶ。91年からロンドン在住。台湾「聯合報」紙で短編小説賞、新詩賞を、同じく「中央日報」紙で二度の短編小説賞を受賞。97年度には、『飢餓の娘』が「聯合報」紙主催の「読書人の選ぶ世界年間最優秀十大作品」の一つに選ばれた。映画化決定

関根謙[セキネケン]
1951年生まれ。専門は中国現代文学。慶応義塾大学大学院修士課程修了。慶応義塾大学文学部教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

キムチ27

56
筆者 虹影のほぼ自伝的作品。生きてきた時間が私と同じなのに、余りの凄惨な現実がこれでもかという程 連綿と。六六の視線で読者は四川省の大飢饉から歩む。そこは700万もの餓死者を出した筆者の故郷。実母、光、碧以外に姉兄が多い。父、そして後をつける影のような男、歴史教師。六六の育つ環境は飢餓、食べ物への狂気、便所地獄、男女の性の怒濤が溢れる。国民党と共産党の相克に農民らを血だらけ泥まみれに引きずりこんだ時間が描かれる。幹部は肥えぬくぬく、まるで便壺の蛆虫!六六を巡る3人の男を越えたラスト。癒しというのだろうか。2023/02/03

ぽけっとももんが

8
図書館の返却棚で見つけた。わたしの前にこれを借りて読んだ人がいるんだなぁ。その人はどこで知ったのだろう。さて、重慶のスラム街で暮らす18歳の六六は、「飢餓をかすって」生まれてきた。それはもう餓死者で人口が激減するほどの飢饉の間母親の胎内にいたのだ。その後も貧しく飢えたまま成長した彼女は家族の秘密を知ることになる。食べるものもない、トイレもない、風呂にも入らずプライバシーもない。そんな中六六は映画館でタイタニックを観る。タイタニックって、最近じゃないか。一番の衝撃でした。2021/05/04

umeko

5
考えられないような凄惨なスラム街を舞台に、6人の兄弟姉妹が暮らしています。貧困とそこから抜け出すことの難しさ。そんな中にあっても、兄弟姉妹は生活し、成長し、様々なことを考え、各人の事情を背負い生きてゆくさまは、力強く、痛快ささえ感じました。母と娘はどこか特異な関係であることが、極限の貧困の中で見事に具象化されているところが面白かったです。2011/12/28

ハッカ飴

4
思いがけずいい作品を読んだ。終盤の母とのやりとりには涙。主人公のいうとおり、「知りたがること」は絵に描いたような幸せには結びつかないのだと思う。でも、「知りたがること」を捨てることは、自分自身や人間らしく生きようとすることを捨てることにもなりはしないかとも。とにかく面白かった。2011/12/11

たまきら

1
本当は再読。久々に読んでもおもしろかった。2014/04/22

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