灼熱

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  • サイズ B6判/ページ数 222p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784087733914
  • NDC分類 993.7
  • Cコード C0097

内容説明

世紀末のハプスブルク帝国での男の友情と、ひとりの女性をめぐる衝撃の愛の結末。親友と妻の仲を知ったあの日から41年を経て会う男ふたり。至高の愛を描いた幻の大ベストセラー、映画化決定。

著者等紹介

シャーンドル・マーライ[シャーンドルマーライ][S´andor M´arai]
1900年、コショ(現スロバキアのコシツェ)に生まれる。フランクフルト大学及びベルリン大学に学ぶ。その頃、無名のカフカを見出し、ハンガリーで翻訳。1930年代にハンガリーを代表する作家となるが、48年に亡命。作品はすべて発禁処分となり、やがて忘れられた。1989年、ベルリンの壁崩壊の直前、亡命先のサンディエゴで自殺。1990年、祖国ハンガリーで出版が再び開始される。90年代末、『灼熱』の国際的な成功により、20世紀の最も重要な作家のひとりに名を連ねることとなる

平野卿子[ヒラノキョウコ]
翻訳家。お茶の水女子大学卒業後、ドイツのテュービンゲン大学留学
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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syaori

40
ヘンリクに届いた手紙、「四十一年。それから四十三日」待ち続けたコンラードからの。10歳で出会って24年、一卵性双生児のようだった2人の41年ぶりの再会。同じ部屋の同じ晩餐。空いたクリスティーナの席。「待つことと復讐への望みしかなかった」と言うヘンリクが語る41年前の事件の「事実」を息を詰めるように追っていきました。結局「真実」については友情と恋、憧憬を巡る人間の心の複雑さを思うほかないのですが、同時に真実を手に入れたという思いもしているのです。「そのとおりだということは君がよく知っていることじゃないか」2017/06/05

はやしま

25
自分の中で確実に記憶に残る、人生の糧となりうる一冊。時代が許せば世界の名作の一作品となっていたと思う。自国で忘れられ(かけ)ていて作品が世に出たのが冷戦の終結後の20世紀末という事実に時代の残酷さを感じる。 物語は恰も一幕ものの舞台。ある館での一夜、41年ぶりに再会したかつての親友が語り合う。「あの日」の出来事。異なる世界に属していたヘンリクとコンラード。変容する国家・世界、没落する上流階級。そんな世の中で41年只管待つ時を過ごしたヘンリク。こんな人生もあるのかと、その厳しさ、寂しさ、凄まじさを感じた。 2017/07/07

6
王侯貴族とその親友が41年振りに再開し、ずっと音信不通だった理由を語っていくハンガリー文学。あらすじだけでもヘッセに近く、男同志の友情と恋愛の間で揺れる青年の心理や、階級の違いからくる感覚のズレは、実に古典文学的。展開にも現代文学的などんでん返しがあるわけでもなく、性や暴力描写に持っていくところも無い。東欧文学でずっと現代の一癖も二癖もある小説ばかり読んできたので、不純物の無い「文学」を久々に読めたことが衝撃的。これぞ良作な「文学」ではないでしょうか。作者の経歴も純文学然としていていいなぁ。2011/02/05

belier

3
主人公はハンガリーの75歳の将軍。舞台は1940年。41年ぶりに古い友人が訪れる。激動的な時代を背景に過去を振り返る。友人の到着後は主人公が一方的に語るかたちで小説は進む。この二人と主人公の妻との関係が語りにより明らかにされていく。友人にその真偽を質すが友人は語らない。真相はどうだったのか。対話を臨むにあたって主人公は銃をポケットにしのばせていた。そして友人に会う直前、将軍の乳母だった91歳のニニにあることを告げられている。ニニの言葉は真実だったのだろうか。緊張感みなぎる小説。掘り出し物だ。2016/09/30

sherbets

1
ハンガリーとウィーンを舞台とした小説。面白かった。明確に分かり合えない感覚を持つ人と、それでも彼らに惹かれる思いと、その結果の闇にとらわれ続ける姿は、ハンガリーの田舎の荒涼とした景色に合います。 友情、恋愛を通した、人と人との対峙の悲しさ、答えのない問いの繰り返しは、確かに純文学感。偶然にもこれが読めて良かったです。 2018/05/19

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