存在の耐えられない軽さ

存在の耐えられない軽さ

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  • サイズ B6判/ページ数 365p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784087731774
  • NDC分類 989.53
  • Cコード C0097

内容説明

ほんとうに重さは恐ろしく、軽さはすばらしいことなのか?男と女の、かぎりない転落と、飛翔。愛のめまい、エロティシズム…。冷戦下の中央ヨーロッパの悲劇的政治状況の下で、存在の耐えられない軽さを、かつてない美しさで描く、クンデラの哲学的恋愛小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

metoo

54
トマーシュは沢山の恋人と一度も一緒に眠ったことがなかった。だが、誰かが籠に入れ、彼のところに流してよこした子供であるという気持ちを抱いたテレザとは枕を共にする。テレザの狭愛ゆえトマーシュは外科医からビルの窓拭きそしてトラック運転手へ。トマーシュと性愛的友情を結んだサビナ。サビナを愛したフランツ。本作は私に男女の関係性を問いかける。肉体的にも精神的にも自由であり相手を縛らず尊重し、関係を継続させる。それは理想で現実ではない。今日もビルの窓を拭く背筋の動きから目が離せない。あなたは外科医?それともトマーシュ?2014/09/18

白のヒメ

48
「繰り返すことの無い一度きりの人生も歴史も、舞い上がる埃のような耐えがたく軽いものである」この小説の前面に出ている主題に、ニーチェの「永劫回帰」支持かよと猛反発。相容れない思想であるので、読み続けてもおしくらまんじゅうをしているかのように、物語に入って行けない。かと思いきや、存在の耐えられない軽さは決して否定ではなく、何事からにも自由であるべきだという、作家の肯定の主張だったのだと読み取れ、後半は一気に物語に入れた。「犬は一度も天国から追放されていなかった」大好きな一文。クンデラ、いいぞ。好きになったぞ。2015/01/15

Tonex

32
再読。初読時は途中で挫折したが、河出書房新社の新訳を読んだら面白かったので、こちらに戻ってきた。古い表現もあるが、こちらの訳の方が意味がよくわかる部分もある。◇新訳で意味がよくわからなくて読み飛ばした哲学的考察の部分もよく読んだらなんとなく理解できた。面白い。ニーチェの永劫回帰もネットで調べてみた。◇恋愛小説のようで恋愛小説でなく、政治小説のようで政治小説でない。かといって哲学小説というのもちょっと違う気がする。◇いずれにせよ名作。今年のベスト10の候補。◇カレーニンと名付けられた犬がいい味を出している。2016/01/30

Ryuko

22
再読。人間の顔をした社会主義を標榜し、プラハの春を導いたチェコの指導者ドゥプチェックは、ブレジネフに連行され、プラハの春は終わりを告げる。帰国後震える声で声明を発表した弱いドゥプチェックに共鳴するテレザ。当局からの抑圧に負けず過去の自分の文章を取り下げないトマーシュ。田舎町で会ったトマーシュのところに身一つで転がり込んできたテレザ。常に何人かと関係を続けるトマーシュ。弱くて重いテレザと強くて軽いトマーシュ。しかし、亡命先からプラハに戻ってきた時点でトマーシュは、強くて重い存在になったのではないか。2016/01/07

くみこ

18
超大国ソ連に蹂躙されるチェコ。そんな時代の中で生きるトマーシュとテレザを中心にした、哲学的な恋愛物語です。テレザを深く愛し、執着しながらも多くの女性と関係する強いトマーシュと、プラハの春の終わり、指導者として地に落ちた感のドゥプチェクに、限りなく共感する弱いテレザ。皮肉な事に、弱いはずのテレザが、外科医のトマーシュを田舎で働く農夫へと変えてしまっても、二人は共にいる。重く暗い国家事情の中で生きる男女の、珠玉の恋愛小説でありながら、人生を考えたくなる作品でした。2016/01/10

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