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冬の旅

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  • サイズ B6判/ページ数 357p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784087714821
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

魂を震わす、慟哭の道。
2008年6月8日午前9時。緒方隆雄、滋賀刑務所を出所。罪状は強盗致死。ドミノ倒しのように不運が続き、すべてを失った男が歩き出す。21世紀の日本に刻む、現代文学の到達点。

内容説明

妻の失踪を皮切りに、緒方隆雄の人生は悪いほうへ悪いほうへと雪崩れる。失職、病、路上生活、強盗致死…。二〇〇八年六月八日午前九時。五年の刑期を終えて、緒方は滋賀刑務所を出所する。愛も希望も潰えた。残されたのは、凡てからの自由。たった一人、この世の果てへと歩き出す。衝撃のラストが待ち受ける―。魂を震わす、慟哭の物語。

著者等紹介

辻原登[ツジハラノボル]
1945年和歌山県生まれ。1990年「村の名前」で芥川賞、1999年『翔べ麒麟』で読売文学賞、2000年『遊動亭円木』で谷崎潤一郎賞、2005年『枯葉の中の青い炎』で川端康成文学賞、2006年『花はさくら木』で大佛次郎賞を受賞。2012年に紫綬褒章を受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

クリママ

48
切れ目のない長い文を読んでいるような感じがした。ごく普通の少年、青年時代を過ごした男の運命が、わずかなめぐり合わせの悪さで、少しづつ悪い方へと傾いていく。これは読まなければならない作品なのかと思うほど、穏やかな時間が少なく、その不運の連なりが辛い。いったい何が人と違っていたのか。いや、ほんのちょっとした不運は誰の上にも降りかかり、それに腹を立てることは誰にでもあること、何もなく過ごせてきたことが幸運なのかものしれないと思うと、背筋が寒くなるものがあった。2020/06/02

里季

45
緒方隆雄は、妻の失踪から坂道を転げ落ちるように悪運に取りつかれる。強盗殺人ほう助で懲役を食らい、無事出所となるのだがまたもやすることなすこと、出会った相手も悪く、全く悪人とは言えないのに悪い方へ転がる。しかし、この物語は、緒方一人の話ではなく、彼の妻の話でもあり、彼を最初につまずかせた青年白鳥の話でもあり、刑務所で一緒になった久島老人の話でもある。でも、緒方は運命をそのまま受け止めただけであり、風の吹くまま、水の流れに身を任せてこうなったのである。最後の選択だけは彼自身が選んだもの。それは酷いことだった。2014/01/08

どんぐり

36
満期出所で刑務所を出てきた緒方が『最初の躓きは何だったんだろう』と述懐する話。阿弥陀仏、「包丁 マダム楊」での店長補、男の鎖骨の窪みを見て感じる白鳥の登場、さにわ真明教の「サニワ」編集部、阪神・淡路大震災、ゆかりの出奔とSM秘密クラブの女王、「酢豚作り食ったブス」の回文、帝塚山の強盗殺人容疑、治験のアルバイト、老夫婦の背中を心臓を狙って一突き。本書の主人公「緒方高雄」のふざけた回文名、いつ物語が始まるんだと思っていたら、いつの間にか終わっていた焦点の定まらない作品世界。個人的には、好みじゃない。2014/04/18

らー

34
客観的にずっと語られるので、感情移入できず、難しさがありました。不幸の連鎖でどこまでも落ちていく主人公ですが、「驚愕のラスト」と帯にあるわりにはやっぱり感もあって、誰かのせいにしているうちは、立ち直れるわけはありません。2020/03/22

安南

31
最初読み終えた時、腹が立って。腑に落ちなくて、もう一度読み返したら…哀しくて、残酷で、でも不思議な安らぎに包まれた読後感に変化していました。大阪の街に馴染みがなく、なかなかイメージが掴めなくて残念。これは流転の人生を川、特に淀川の流れに重ね合わせた小説だと思うから。彼の人生を横切る鳥たちは何を象徴しているのだろう。カラス、十姉妹、妻の旧姓、そして、白鳥。最後に流れ着く土地は熊野、切目。川は、海に流れ着く。躓きはいつからと、人生を逆に辿ってみても、運命は無常。彼の名前は緒方隆雄、回文だ…。2013/04/08

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