出版社内容情報
植物を愛する若者の成長を描く連作時代小説
幕府の施設、小石川御薬園でのんびり植物を眺めて暮らす水上草介。周囲の人々の助けをかりて御薬園界隈で起きる事件、揉め事を治めながら成長する姿を生き生きと描いた9編からなる時代小説。
内容説明
草花の知識と記憶力を生かし、薬草栽培、生薬の精製につとめる、のんびりやの小石川御薬園同心・水上草介。剣術道場に通うお転婆娘・千歳にたじたじとなりながらも、揉め事を穏やかに収め、成長していく姿を生き生きと描く連作時代小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
67
時代小説で、こんなに爽やかに読み終えたのは初めてです。 何より切った張ったが無いのが良かったです。 武士とはいえ、小石川御薬園同心という薬草を管理する役職だからか、剣術は苦手でおっとり、のんびり。 緑の木々、草花に囲まれて、葉っぱを押し花にして研究するのが楽しみという水木草介さん。 害獣といわれる狸にも優しく、些事に頓着しない大らかさ。 出世という向上心は無いものの、身近な物への飽く無き観察力から、人々の役立つ物を考え、創り出す向上心は凄いです。 周囲の人々とのホンワカした交わりも素敵です。2015/09/21
ゆみねこ
64
小石川御薬園の同心「水上草介」が、日常の謎を解いてゆく。ほっこりとした読み心地で、楽しく読了しました。2015/10/04
Rosemary*
61
小石川御薬園で御薬園同心として、大好きな植物と向き合いながらお役に励む水上草介。のんびりとした性格と手足がひょろ長く吹けば飛びそうな体躯からついた綽名は水草さま。御薬園界隈で起きる事件や揉め事を生薬や本草学の知識から穏やかに収めていく連作短編集。御薬園預かりの芥川家の娘で武芸に秀でた千歳とのやりとりも面白い。ほのぼのとして癒される一冊です。2015/11/27
Norico
56
小石川の御薬園で、薬草を育て、生薬を精製している水上草介さん。植物が大好きで、のんびりしててステキです。その大好きな植物の知識でちょっとした謎解きや人助けをしたり。偉い人に認められても、おごることなく、ひょうひょうと変わらず。若衆姿でおてんばあるな千歳さんといいコンビ。ゆったりした気持ちになれる時代小説です。2015/02/28
はる
55
少しあっさり、こじんまりとして物足りなさもありますが、優しい雰囲気がいい感じ。ふんわりとした読後感がとても良かったです。のんびりとした主人公とお転婆な千歳の淡い関係がほのぼの。時々思わず微笑んでしまいます。主人公がみんなに愛されていて、読んでいて爽やか。2015/07/27