出版社内容情報
早熟な兄、仲の良い両親、幼なじみの九に護られていた少女時代。それはある日、突然、終わりを告げた。感性のままに行動し、恋をする女性・茉莉の、果敢で不器用な愛を描く、柔らかな幸福の物語。
男と女はわかりあえるのか──。
辻仁成『右岸』（集英社刊）も併読下さい。対岸を歩み続けるふたりの壮大な愛の軌跡。
内容説明
福岡で隣同士に住んでいた茉莉と九―。踊ることと兄が大好きな茉莉は１７歳で駆け落ちし、同棲、結婚、出産を経験する。数々の男と別れても、いつもどこかに、影のような九がいて…。江國香織と辻仁成の奏でる二重奏ふたたび。夢を信じることができるあなたに贈る柔らかな幸せの物語。
著者等紹介
江國香織［エクニカオリ］
１９６４年東京都生まれ。小説、童話、詩、エッセイ、翻訳など、幅広い分野で活躍している。２００２年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、２００３年『号泣する準備はできていた』で直木賞を受賞（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さおり
56
長かった。税込210円で買った本を4日間読んでたんだけど、めっちゃコスパ良くない？で。若い頃の私が頑なに「恋はするもんじゃない！落ちるものよ！」と思ってたのは、江國さんの影響だったんだなと実感しました。このお話の主人公の茉莉もばんばん恋に落ちるからね。相手はクズ多めなんだけど、まぁそれに関しては私もひとのことは言えん。とにかく、恋多き茉莉の人生(半生？いや、2/3くらい？)。まぁまぁ我慢の読書だったけど、私には「右岸」があるから。あっちを読んだあとには「両方読んで良かった！」と思いたい。2021/01/25
キムチ２７
48
だいぶ前に「冷静と情熱の間」を読み、「あ~~、辻は合わない」と思ったもんで・・しっかと江國さんだけ読みます。確信犯的に！言うなれば、川のこっち側が好きで、そこの景色だけ眺めつつ散策するのもいいんじゃぁと。長い長い・・無駄に長いと思うのは茉梨の生き方に共感を持てないから？ただ、好きになれない50年の時間をいやいやながら付き合う。男の選び方、子供の育て方向き合い方、九との間柄を景色的に言えばなんということもないながら人生のある一面。雑な私流にいえば、興味の持ち方が180度違うって話に作ったらこうなるんだ？2015/06/14
くれよん
31
こちらから(左岸)読んだのが良かったのか、あちらから(右岸)読んだ方が良いのか迷ったけどこちらから。自由奔放な茉莉の周りには絶えず人がいて恋をする男性がいる。幼い頃に遊び暮れた兄の惣一郎と隣に住む九の存在も茉莉の人生に大きく関わっていくが、心のテレパシーのようなものが面白い。波瀾万丈な人生だったけど楽しくガソリンスタンドで働いていた頃の茉莉が一番好きだったなぁ。2024/01/24
それいゆ
28
「右岸」を先に読み、物語の結末や展開が分かっていることもあって、すごく長く感じました。「右岸」で自分が勝手に想像していた茉莉のイメージとは違っていたので、何か大切なものが失われてしまったような気分になりました。「右岸」の主人公である祖父江九に関わる部分の話が案外少なくて、他の部分はあまり読む気がしませんでした。辻仁成さんと江國香織さんが、どんなふうに打合せをして、このコラボ小説を書いたのかにとても興味があります。当たり前なのですが、細かいところまで人物や話が整合しており、不思議な世界をかもし出しています。2012/04/17
ででちゃん
26
茉莉の大好きだった死んだ兄が、ずっとそばにいてくれるという感覚は羨ましい。 そういう感性があるから、一見、周囲に翻弄されているようでも、自我を肯定しながら生きていけるのだと思った。 チョウゼンとしていればいい、というのも現実に足をとられない生き方を支える自己暗示のような想い。 健康で、活力のある女性だ。 ドラマ化するなら、茉莉役は米倉涼子さんとか、パワフルなひとがいいかな。2014/10/10
