内容説明
豊臣秀吉が権勢を振るう安土桃山時代。天下一の三味線弾きを目指す藤次郎、出雲のお国一座の笛役者・小平太、元奴隷の太鼓叩き・弥介、天性の舞姫・ちほの4人が一座を結成、型破りな演奏と反体制的言動が都の人々を惹きつけてゆく。一方、民衆の支配強化をもくろむ石田三成は、河原芸人たちに圧力を加えようとしていた…。
著者等紹介
天野純希[アマノスミキ]
1979年名古屋市生まれ。愛知大学文学部卒業。2007年、『桃山ビート・トライブ』で第20回小説すばる新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
115
標題だけ見て、図書館で予約した。来たら時代小説。時代小説は苦手だった。読み始めて、堅苦しさがないのに気づいた。春日大社のそば。藤次郎は盗人。名古屋出身。小説すばる新人賞。2013/12/09
なゆ
74
なかなかに面白いぞ、豊臣秀吉の時代のロックバンド!傾き者ファッションに身を包み三味線をかき鳴らす藤次郎、その旋律に小平太の笛の音が絡み、異国のビートで見慣れぬ太鼓をたたくモザンビーク人の弥介、紅一点でステップを踏むちほ。その名も〝ちほ一座〟。一座ができて人気が出て…というだけでなく、史実にうまく絡ませてあるのが面白い。特に三条河原での、秀吉と三成の暴虐に憤る民衆に訴えかけるちほの踊り。「音楽の力っちゅうもんを見せつけたろうやないか」と、音楽の力で人々の心を動かす。この後の旅の珍道中、みたいな続編読みたし。2016/06/06
カザリ
38
正直、私はなじめなかった。。網野義彦的世界観な感じがするんだけど、私のみたい歌舞伎ものたちではなかったというのが印象。読みやすいのかもしれないけれど、人物が何に怒り、なにに向かって突き進んでいくのか、そういう感情とか強烈な意思を感じることができなくて、私はそういう小説を読みたいのだと気付いた部分はあった。あと、そこはかとなく売れない感じもした。時代小説の読者層とこのバンド小説というテーマが一致しなさすぎなのかもしれない。でも、この時代をおもしろく若い読者にアプローチできたら、すさまじくおもしろいことになる2016/08/26
はやっしー
29
大河ドラマ【真田丸】と時代がかぶっているので、登場人物がイメージしやすく、それだけに以前読んだ時より感情移入しまくり。いやもう、笑った怒った悲しんだ泣いた。本作では石田三成が悪者に描かれてるんだけど、ホント腹たったわー。豊家の厳しい締め付けに不満を抱えた民衆の声が、ちほ一座の魂込めた演奏と踊りで爆発する場面は鳥肌もの。それが、出雲のお国の心も揺さぶる。三味線・笛・太鼓・踊りというたったそれだけの表現力なのに、《本物》ならそれだけで人々を魅了してしまうパワーがあるんだなぁ。何度読んでも勇気が貰える作品‼2016/06/26
宇宙猫
29
★★★ 桃山時代、ロックに生きた若者たちがいた。って感じの小説。富や安定よりシャウトだぜというのはロックがぴったり。なのに受けた印象が筒井康隆さんの”ジャズ大名”と重なり合ってしまった。状況は正反対なのに音楽に取りつかれているところが似てるのかも。2016/06/13
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- 和書
- Joy!