内容説明
夫に恋人がいた。離婚をほのめかされた。わたしはいったい、どう、したいんだろう―。夫婦の間に立ちこめる、微妙なざわめき。途方に暮れながらも、自分と向き合い、夫と向き合い、少しずつ前へ進みはじめた、のゆり、33歳の物語。
著者等紹介
川上弘美[カワカミヒロミ]
1958年東京都生まれ。お茶の水女子大学理学部卒業。94年「神様」で第1回パスカル短篇文学新人賞を受賞。96年「蛇を踏む」で芥川賞、2001年『センセイの鞄』で谷崎潤一郎賞、07年『真鶴』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。07年夏より芥川賞選考委員を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
扉のこちら側
71
初読。夫の浮気がわかっても、どうすることもできない、何もしない妻。約2年の間にゆるやかに変わっていく二人。やるせない思い。2013/04/05
もりやまたけよし
51
のゆりって良い名前ですね。奥ゆかしいというか、少しじれったい夫婦関係でした。やっぱ別れた方がいいですね。2018/09/02
傘介
44
浮気もDVも略奪もない夫婦のなにげない日々を描いた小説、好読中。なので、この小説の運びは少し違ったかな…。しかし自分の気持ちさえつかめなかったうじうじのゆりが、揺れ惑いながらも心の輪郭をつかみとっていく様はもどかしくも美しい。ただ読後感は同じ曖昧妻でもユーモアが冴えた『これでよろしくて?』の勝ちかな。ということで、現在のお気に入り"妻のつぶやき思考小説"コレクション・ベスト3は、『これでよろしくて?』川上弘美、『つまのつもり』野中ともそ、『赤い長靴』 江國香織。どの妻たちも不器用ゆえに、いとおしい。2009/06/19
巨峰
43
静かに冷静に、しかしひたひたと着実に壊れていく夫婦を描く。今回の川上さんは不思議感は少くて、まるで江國さんみたいな冷質な印象のする表現ですが、読みやすく一気読みしました。質の高い作品だと思いました。2014/11/29
James Hayashi
35
夫に不倫されながら、ハッキリ物申すことができない「のゆり」。彼女の名前、叔父との関係、卓哉の落ち着かない女性関係など著者の意図するところなのかファジーである。タイトルも風に揺られる雪の如く風花。中途半端な心情を追っていくが、それだけでも読ます力はある。結末も「のゆり」らしいモノを自分は見たが、男女関係の難しさを感じた。2017/10/02