内容説明
強気に振る舞うエリザベス女王だったが、フランスやスコットランドとの争いや、国庫の枯渇と、イングランドを破滅へと導くようだった。一方、恋人ロバート・ダドリーの野心に反感を持つ者たちが激増。宮廷には暗雲が立ち込める。密約、謀略、不審な死の影…。八方塞がりとなったエリザベスが、女王として、女として、選んだ道とは!?「処女女王」の激しすぎる物語。
著者等紹介
グレゴリー,フィリッパ[グレゴリー,フィリッパ][Gregory,Philippa]
テレビやラジオのジャーナリスト、プロデューサーの経験もある、イギリスの作家。エジンバラ大学で18世紀文学の博士号を取得。歴史小説の第一人者であると同時に、現代を舞台としたサスペンスにも定評がある。現在は、家族とともにイングランド北部に住む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ann
46
本当に面白いこのシリーズ!いつの世も男女のドロドロと出世欲はあるけど、王室スキャンダルは最高の話題。ミセス・ダドリーに神の御加護を。次作は一気に時代が遡るみたいで、ヘン八シリーズやめられない。2018/12/13
ぱなま(さなぎ)
26
この小説におけるエリザベスは、決して強い女としてのみ描かれているわけではない。突如大役に就いて1年か2年しか経っていない20代の一人の女性と思えばそれも当然だし、甚大なプレッシャーに耐えながら側近の力を借り女王として成長していく姿には親しみすら感じる。それでいて後半の展開では彼女の持ち前の賢さとしたたかがドラマを一気に動かす原動力となる。二人の側近セシルとダドリーの関係も、敵対心と友情が紙一重であることを感じさせる。その後数十年続く女王の治世にもまだドラマがあるのだろうなと思わせる幕切れ。2018/02/10
かなえ
19
弱い女と冷徹な王。ロバート・ダドリーは、エリザベスの二面性に振り回された哀れな男…という印象です。エミリーもエリザベスも、結局女はしたたかなのですよ。2015/11/03
noémi
16
ダドリーとセシルと女王。ダドリーも名より実を取る人間だったならここまで恥辱をさらすこともなかったのかも。作者は途中からドラマティックに持って行く技にすぐれ、最後すごいカタストロフィが。ダドリーの妻のエイミーは後半、ダドリーの愛を諦めたとき、一気に人間的に成長する。ダドリーは自分が評価しているほど人物じゃなかったのだと思う。少なくともセシルのほうがずっと冷徹だった。セクシーで愛人でいる分にはいいのだけれど、政治的手腕は無い。そのことを女王に見抜かれていた。いや、エリザベス、大した女です。2017/12/06
D21 レム
16
押しに押すロバートだが、策略する力に負けず劣らずの真の愛情を持ったことで、行く手が変わったのか?愛情は事実をありのままに把握する力を奪うのか。ロバートの言動に対して、エリザベスの思いがゆっくりと変わっていく様がみごとだ。セシルの働きは徹底的に冷徹だ。おろおろしても、わずかなすきまを逃さずに、破滅から国と自分を守るエリザベスの波乱に満ちた道のりは、うまく描けているなあと思う。人は単純ではない。エミリーが変容する場面も読ませる!エミリーはあと一歩で人生をもっと自由なものにできたかもしれないと思うと残念だ。2017/11/17