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集英社文庫
砂の本

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  • サイズ 文庫判/ページ数 270p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784087602401
  • NDC分類 963
  • Cコード C0197

内容説明

変幻自在な生の諸相を描く。ラテンアメリカの巨匠ボルヘスの短編集。他に歴史上有名なアンチヒーローを取り上げて、独特の解釈をほどこした物語風散文集『汚辱の世界史』を収録。

目次

砂の本(他者;ウルリーケ;会議;人智の思い及ばぬこと;三十派;恵みの夜;鏡と仮面;ウンドル;疲れた男のユートピア;贈賄〔ほか〕)
汚辱の世界史(汚辱の世界史;ばら色の街角の男;エトセトラ)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さっとる◎

40
「砂の本」「汚辱の世界史」。騙される。原典の模倣、変奏、改竄、展開。その本歌が虚構だとか、ね。ボルヘスが若き日のボルヘスに会う「他者」から短くも不思議な夢の一部のような掌編がたくさん。物語を語るのに長さは必要ない。多くの起伏を盛り込んだストーリーよりもたった一言が何よりもすべてを語ることもある。美しい言葉を組み合わせるという美しい戯れを重ねることより、幻のたった一語を探すという不確かな試みが心をとらえて離さないから文字を繋ぐ。言語が引用のシステムにほかならないとしても。想像力の中で本のページは増え続ける。2018/02/10

林 一歩

23
気楽に読む短編集だよな、これって。 寝る前に少しずつ読んで、ざわついた気分で眠りにつくこの数日が心地よかった。2015/02/14

三柴ゆよし

16
『汚辱の世界史』再読。趣向が趣向だけに、先日読んだマルセル・シュオブ『架空の伝記』と比較しながら読んでいたらしい。ボルヘス自身「あらゆる可能な手法を意識的に使い尽し(あるいは使い尽そうとし)」たバロック的書物と自評するように、技巧と様式の洗練という点では本書に軍配が上がる。ただ読んでいてどちらがおもしろいかというと、はなはだ主観的な判断ではあるが、個人的にはシュオブに一票。これは多分個から普遍を導き出そうとしたボルヘスと、個からあえて個のみを抽出せんとしたシュオブの、両者の態度の問題に関わってくる。(続)2011/09/19

ぶらり

13
『伝奇集』が、「図書館」や「園」、「くじ」といったボルヘス世界の啓示であるのに対して、その世界の出来事を集めた印象の短編集。『伝奇集』、『エル・アレフ』、『砂の本』の三冊を一編の長編と捉えて読むのも楽しそう?いや、ボルヘスの魔法は、ひとつの短編自体に歴史的知的重量と時間的神的広がりを閉じ込め埋め込んでいて、私にとっては危険なまさに『砂の本』である。今や鞄にこの三冊がいつも入っていて、手放すことができない。人付き合いを避け友人と会うのをやめ、とりこになって、ノートが一杯になり、不眠症になり…図書館に返そう…2011/01/18

pyoko45

12
初期の『伝奇集』では、無限ループが仕込まれたプログラムコードのような純度の高い文章に、くらくらと来てしまったものですが、本作は初期のような鋭い切れ味をみせつつも、物語性が増量されてと読みやすくなった印象。くそまじめな顔をして大風呂敷をせっせと広げていく手際にニヤリとさせられました。ボルヘスさんもかなりひとが丸くなりはりましたな。2012/08/13

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