感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
剛腕伝説
14
再読。どの項目も心に染みる。江戸時代、老齢意識というものは三十代後半から始まった。武家達は四十代で隠居し雅号を持った。西郷隆盛などは四十代で西郷翁と呼ばれた。選民たる名誉と選民たるがための天命意識を持つことができた。また世襲的条件のおかげで江戸期三百年の倫理的教養の伝統を、骨の髄まで染み込ませることができた。 明治維新とはそういう連中のやった革命だった。2024/05/10
のれん
5
現代時代小説界が誇る司馬遼太郎のごくごく初期のエッセイ。 個人的に故人となってしまっている著名人がまだ40代で高度経済成長期の日本も見ながら切実に「年をとってもっと上手くなりたい」とつらつらと書いていてなんとも不思議な気分。 歴史としてのフィクションと史実の住み分けなどやはり影響は大きい。 ちょっとエッセイ集に興味が出てくる一冊ですね。2018/02/11
がんぞ
4
「私は41歳になるが」とあるのにハッとする(若さに)。古文献を読みこなし「坂本龍馬だけが全体構想があり、日本が一つにならないと世界と貿易ができないというプロジェクトがあった」というように文化を人間性開発力構想力と評価する。明治維新は武士階級に美学として蓄えられた教養がなしとげたもので、識字能力、計算能力等「世界の五指に入る国であった」と断定。奥州の騎馬民族とは半島から人材が渡ってきたのではないか、とそんな空想もあり。大阪出身で(養子で奈良)、以前は東西で気質、冠婚葬祭など文化差がかなりあった、そんな話も2013/07/30
剛腕伝説
1
比較的初期の頃のエッセイを纏めたもの。歴史小説を書く理由について「人生は終わってはじめて完成する。時間が経てば経つ程俯瞰で見ることが出来る。そういう視点で見ることが好きなため歴史小説を書くのだ。尤も、歴史が好きだからというのが真相かも知れない」と記されている。興味深い話であった。他にも、上州の得川郷の乞食坊主が三河に流れ着いて、手を付けた後家と娘に孕ませた結果が、徳川家の遠祖であるという件は、笑ってしまった。如何にも百姓代表の家康らしいエピソードである。池田市の酒屋が家康から朱印を貰う件も興味深かった。2018/09/12
ヒコ。
1
あとがきから察すると、氏の最初のエッセイ集なのか2012/04/08
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