集英社文庫<br> 熱帯安楽椅子

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集英社文庫
熱帯安楽椅子

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  • サイズ 文庫判/ページ数 173p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784087495928
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

魅惑の島バリを背景に展開する濃密な性愛と豊潤な感覚。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

171
恋に行き詰った女が、単身でバリに行き、そこで現地の男たちとlove affairを繰り返す―プロットはこんな風にいたって単純かつ陳腐そのものである。主人公「私」のモデルは山田詠美自身だろう。ただし、物語内容はフィクションであろうと思われる。サヌール、グヌン・アグン、レンボガンなど地名を随所に鏤め、ガムランの音に、ガラムのクレティックの香りと、バリをイメージさせようとする工夫は過剰である。一方、この小説の構造は厳密な二元論からなっている。性愛と恋、肉体と心etc…。かように矛盾に引き裂かれた小説ともいえる。2015/01/08

夢追人009

136
山田詠美さんが描いた安楽椅子探偵とは全く関係のない非ミステリー、非日常感覚の恋愛小説ですね。妻子ある一人の男を真剣に愛した為に倦み疲れ悩んだ末にきっぱりと訣別し日本から出て熱帯の安楽椅子バリ島へと旅立ったヒロインが現地で体験する自由奔放な愛の日々。山田詠美さんの作品は読んでみると第一印象で思っていた程にはイヤらしくもエロティックでもありませんね。気だるい雰囲気の中で綴られる女性の心理描写が素晴らしいです。ヒロインとふれあう聾唖の少年トニの純粋さ・ひたむきさが心に突き刺さって悲劇的な最期に涙が溢れましたね。2020/01/13

わっぱっぱ

40
溺れてしまいたくなることはないか。咲き乱れる熱帯の花々のように、不断に恋をたくらみたいと思わないか。ひとり訪れたバリで女が享受する快楽と愛は、甘やかで、奔放で、気怠くて、濃密に匂い立つ。潤う花々。ソカ、チュンパカ、フランジパニ、クンバン・カルタス。女という命を、愛しいと思わないか。2018/03/22

扉のこちら側

38
初読。2015年55冊め。南の島の耳の聞こえない少年ってどこかで読んだキャラだなと思ったが、著者の「放課後のキイノート」か。あれは沖縄だったかな。鮮やかな緑と青と白が美しい。女性がここまで性愛を語る本を読んだのは初めてかも。2015/01/20

haruaki

30
身体や心に熱帯の熱気が纏わりつくような物語だった。山田詠美ならでは恋やら愛やらの名言が所々にあり心が掴まれる。「僕を見つめているから僕の犬」言い得て妙。愛には始まりも約束もないし言葉も形もないのかもしれない。ただ無くした時に、あぁあれは大切なものだったのだと、気づいて立ち尽くしてしまうものなのかもしれない。2018/04/09

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