内容説明
妻に仕事といつわり、若い恋人と晩秋の湖を訪れた男に待ちうける、妻のむごい仕打ち。白い霧につつまれた美しい湖畔のホテルで起きる愛の悲劇を描く表題作。ガールフレンドに招かれ、孤島の別荘に遊びに行った大学生が体験する、恐怖の夏休みを描く「砂に書いた名前」ほか、何げない日常生活の中にある愛と嫉妬が生みだす、ミステリアスな六つの物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
75
愛人との旅行を姪に監視され、妻が乗り込んで来るという恐い話。 途中で、湖が危険だという話が出た時に、ああ、誰かが入水するか、投げ込まれるのだろうなという予感がした。 誰が、いったい湖に入るのだろうか。 4人の場合を分けて考えてみると面白いかもしれない。 本文とは違う人が湖へ入ることを考えて、別の筋書きを作ってみるのもいいかもしれない。解説:阿木燿子。2011/08/03
coco夏ko10角
30
ノンシリーズ6つのお話収録の短編集。 『砂に書いた名前』夏休み、とある島にある彼女の別荘へ。この父娘は…それとも他に…?と主人公と一緒に読んでてドキドキ。 『離婚案内申し上げます』娘の結婚直後、妻が離婚通知を!ドタバタと伊沢が変化していく様子、とても面白かった。 湖畔のテラス/真夜中の停電/砂に書いた名前/静かな闘い/離婚案内申し上げます/窓際連盟2016/07/12
そうたそ
28
★★★★☆ 日常の中に潜む人間の愛憎が生み出す恐怖を描く短編集。ユーモアミステリが有名な赤川さんだが、一方でこういったブラックな作品もまた非常に秀逸なものが多いと思う。人気シリーズの影に隠れた作品かも知れないが、もっと広く読まれてほしい作品。中でも「離婚案内申し上げます」は本書に共通するブラックな作風とはやや異なるが、愛をも越えた夫婦という円熟味を持った素敵な関係性が感じられ素晴らしい。「静かな闘い」も日常の中に静かな狂気が潜んでいるかのような作品で気味の悪ささえ感じられる。2017/07/23
たかなし
25
この中で個人的にダントツなのが「砂に書いた名前」。恋人に別荘に招待されるが、なにやら不気味な影が…という話。短編の中にどんでん返しがなんどもあり、そのたびにゾクッとするんですが、最後のどんでん返しがゾクゾクでした。伏線回収もされてて。2018/11/11
zanta
14
離婚案内~が好きだった。赤川氏は最初の出だしがとてもいい。引っ張り込まれる感じ。そのあと、最初に提示された情景から、セーターがほどけるようにツルツルと展開していってしまう。形があったものがほどけるさまが面白くてはまってしまうんだろうなぁ。2014/11/19