内容説明
「ONCE…そう、かつてたしかに私はこれらの言葉を書いたのだ、そして私は生きたのだ、私の50年代を、ただ一度だけ」著者の20代に重なる1950年代。自由で幸せな青春時代に綴られた詩、歌、日記、掌編、写真―感性きらめく作品群の中に詩人・谷川俊太郎の原点と軌跡が見えてくる珠玉のアンソロジー。
目次
ONCE
十代のノートから
歌
詩
映画によせて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syuntaro
10
【若い頃の谷川俊太郎の軌跡が見える創作】谷川俊太郎が20代だった頃の1950年代に綴られた詩、歌、日記等の記録。自身が自由を謳歌した50年代を写真とともに振り返る表題作。都電や郊外に広がる原風景、初めて買ったシトロエンや三好達治との思い出等を綴る。「十代のノートから」は、哲学的で、詩的で、若さに溢れている。力強いが生と死を深く感じ、考えている。「歌」「詩」「映画によせて」は詩人・谷川俊太郎の感性が随所に光っており、原点だと思う。「子守唄・地球はわるいところじゃない」・「二つの五月」が好きな詩である。 2014/06/11
かなーな
4
初めて詩集というものを自分用に手に取ったのが本作。「夜中に台所で僕は君に話しかけたかった」を贈り物として購入したのが著者を知るキッカケだったが、本作でも気に入る詩をたくさん見つけることができた。詩以外にも面白い作品が詰まっている感じ。解説もすごく飾らない意見でいいなぁと思った。はやく「夜中に台所で〜」を自分用にも購入したい。2016/04/06
aoi
2
本には、出会うべくして出会ったんだと感じるタイミングがある。読み解くための物差しと、影響を受けるための素地。それらの状態と本が噛み合った時、ぐっとひとつの変化が起こる。思考が、思想、思索?押し上げられるのか、深まるのか、拡張するのか。どれもかな。内容は、20代の谷川さんのノートに書き連ねられた思ったことや詩が書き連ねられています。およその彼の作品より若い感じがする。人間臭さがある。反省している。向上しようとしている。それでも、人間離れした多彩さは人間臭さに隠されたりしない。びっくりする言葉の連結がある。2015/11/05
まにまに
1
谷川俊太郎さんの言葉は、とても近くにいてて、だけどとても遠いなと思う。2016/03/30
Masataka Shindo
1
『天と地との余りに豊かなポエジイが僕の無能をかなしませる。』・・・筆者が『今の自分には決して書けぬもの、それなのにどうしようもなくまだ自分自身のうちにひそんでるいるもの』と語る20代のことばたち。時が経って自らのことばを見直す気持ちはどんなものなんだろう。2014/01/16