内容説明
1989年から91年にかけて、世界は目まぐるしく変化した。世界中を旅する著者が、見たまま、聞いたまま、感じたままを綴る。湾岸戦争、ワールドカップ、アメリカ、ストーンズ、女優、経済、セナ、そしてキューバ。「その後の世の中がどう変わったかということには、俺は何の興味もない。後は読む人が判断してくれればいい」著者の発言に何を感じ、思うか。刺激的なエッセイ集。
目次
ワインなんてつい最近飲み始めたくせに
大切なのは、我慢して人を愛することだ
日本語が機能を失い始めた
ガキに高級車は似合わない
アメリカへの憧れは完全に消えた
男に必要なのは、男らしさでも優しさでもない
無国籍に憧れる、なんて言える人間は幸せだ
戦いが、遊びだ〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
dwuuuun
1
村上龍のエッセイにしては、理解ができることが多かったと思う。これはエッセイの内容がどうというよりは、読み手の自分が変化したのかな。理想と異なっても一貫して何かをやり遂げよう。自分が気持ちいいと思うことをしよう。正直に自然に生きよう。2016/10/26
こしぼね
1
世間で幅を利かせている固定観念を打ち破るという意味では、それに馴染めない自分を救ってくれるように感じることもあったが、同意しかねる主張も多いし、何より全篇を通しての偉そうな態度が鼻につく。清濁併せ呑むつもりで読んだ。2011/01/24
かわかみ
0
ことごとく反論を潰しにかかるような言い回しに腹いっぱいといった感じだが、それだけで放り投げるには少々もったいない。意見を持つとは責任を負うということ。そんななか「長嶋が引退した頃、何かが変わった」にて。「女の子のほうも、~野球帽をかぶって応援に行く少年よりも、なんとなく足元を見つめて、将来のことを考えているような男の子のほうが好きなのかな。」なんだか、いいよね。2012/11/20
toku
0
最近、村上龍のエッセイを立てつづけに読んでいる。 たまに出てくる進化心理学の知識っぽい言葉がとても共感できていい。 今回出てきたのでは、以下のような文章。 「人間というのは知り合いが集まって、小さな部族とか仲間を作って生活し助け合って生きてきた。その助け合いの輪の外にいる人間としか戦えないと思うんだ。 人間の中には他人の不幸を喜ぶ習性があるがあるがその他人というのは、必ず外部の人間、仲間の外の人間だ。 「ひとの不幸は面白い」という言葉の裏には、そういう非常に重要なテーマが含まれている。」2012/09/11
猫マッチョ
0
今の時代だからこそバブル期のエッセイが役に立ったんだ。現在の村上龍は大人な対応や知性ある対応が多いが、この若い頃(?)のエッセイには主張を超える「何か」が書いてあった。「何か」とは何か?それが課題だ。一文で書くならば『人間味溢れるエッセイ』2012/06/05