内容説明
建武の新政で後醍醐天皇により十六歳の若さで陸奥守に任じられた北畠顕家は奥州に下向、政治機構を整え、住民を掌握し、見事な成果をあげた。また、足利尊氏の反逆に際し、東海道を進撃、尊氏を敗走させる。しかし、勢力を回復した足利方の豪族に叛かれ苦境に立ち、さらに吉野へ逃れた後醍醐帝の命で、尊氏追討の軍を再び起こすが…。一瞬の閃光のように輝いた若き貴公子の短い、力強い生涯。柴田錬三郎賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
314
帝か武士か、運命をいずれに託すべきかと日本全体が揺れていた時代。鎌倉幕府という武家時代を倒し帝が政治を司る時代へと変わる。後醍醐天皇、足利尊氏、新田義貞、楠正成など名だたる役者達が新時代を創るべく戦いを繰り広げた。本作は弱冠16歳で後醍醐天皇より陸奥平定の任を受けた北畠顕家の物語。馴染みは薄い時代だが流石北方節、読み応え抜群!部門の棟梁として全国から担がれる尊氏に対し、内心朝廷への不満を抱きつつも帝を国の御輿と定めた若き顕家!緩急自在縦横無尽の戦ぶり。時代が真に必要とする漢のあまりに短き生涯。唸る‼️🙇2020/04/17
遥かなる想い
125
南北朝時代の北畠顕家を主人公にした小説である。北畠親房の子であった顕家は、21歳と若くして散ったため、あまり取り上げてくれなかったが、陸奥を起点にしたそのりりしさは面白い。NHK大河では昔、後藤久美子が演じていたと記憶している。2010/08/15
とん大西
115
あと10年遅く生まれていたら、安息な人生を送れていたかもしれない。10年早く生まれていたならば、足利や新田など歯牙にもかけず己れの政事を貫いていたかもしれない。北畠顕家…凄い男がいたもんだ…です。陸奥守として多賀城に赴任した時は齢16。若輩の謗りなど跳ね返す麒麟児のオーラ。麾下の武将を朋輩の如く愛し、戦下で困窮する民を憂い。強く清く逞しい。この男を将と仰がずにいられようか。故に求められてしまった、夢見る武士達に。腐敗した朝廷に。そして鎌倉瓦解後のこの国のカオスに。あぁ、惜しむべき英傑、顕家。2022/11/29
ポチ
53
知識、知略、武力、統率力などを備えなんとも魅力的な16才の公家がいたのか。知らなかったです。どんなに朝廷が腐っていても殉ずるしか無かったのか、残念です。2022/11/05
ehirano1
44
何かおかしい・・・・・北方さんの歴史モノなのに乗れない・・・なぜだ・・・・・。タイミングの問題でしょうか?とにかく今は秋(とき)を待ちます。2018/05/05